「とにかくぼくは、バオバブの苗木をいっぱいもってきたんだ。バオバブの種をぼくの星の活火山で沸かしたお湯といっしょに植木鉢に入れて一晩おいといて、それからちゃんと植木鉢に土を入れてさっきの種をうめて育てたんだ。これからこの砂漠に植えようと思うんだ。そしてバオバブの森を作りたいんだよ」
「こんな、雨が降らないところじゃあ、いくらバオバブの木が日照りに強くたってうまく育たないよ」
「やっぱり水がいるの?それならこの前きたときに見つけた井戸のところにいけばいいよ」
ってぼっちゃんは歩き出したんだって。しかたなくケープペンギン君はぼっちゃんにつきあったんだ。ケープペンギン君はずっとぼっちゃんの後についていったんだって。歩くこと丸一日、やっと井戸を見つけた。その井戸にはなんと地下水をくみ上げるためのポンプと、水を周りにまくためのスプリンクラーが用意してあったんだってさ。
「人間たちがここに残していったのかもしれない…あいつらはホントに気まぐれだから…」
ってケープペンギン君がいった。さっそく、スイッチを入れるとギーギー音をたてながらポンプは水をくみ上げて、スプリンクラーは周囲に雨を降らせた。そうしたら砂漠の真ん中に虹がかかったんだって。ぼっちゃんは大はしゃぎ。でもケープペンギン君は、
「ところで、バオバブの苗木はどこにあるの?」
ってきいたんだ。
「ちょっとまってて!」
ってぼっちゃんはフイにいなくなっちゃったんだってさ。 |