町内運動会

 

 銀行強盗事件があってから半年がたちました。

「博士、今年もそろそろ町内運動会の季節がやってきましたね」

と、臼井助手が青山博士に言いました。

「フッフッフッ・・・、その通り。町内運動会が行われる時がとうとうやってきた。わが二丁目はここ数年、一丁目に優勝をさらわれて、苦い思いをしておるからなあ。このわしが二丁目の町会長になった今年は二丁目が町内運動会で必ず優勝するんだ」

と、青山博士。

「いつの間に町会長なんかになっていたんですか、博士?それにしてもすごい意気込みですね」

「そうとも、わしが町会長に任命されたとき、わしはみんなに宣言したんだ。もし、わが二丁目が今年の町内運動会で優勝できなかったら、この青山、死んでお詫びをいたします、とな・・・うわっはははは・・・」

と、青山博士は笑いました。

「博士、死んでお詫びだなんて!たかが町内運動会じゃないですか。大げさすぎますよ」

「何が大げさなものか、臼井君。運動会に優勝できなかった昨年、わしは外を歩くときはいつも下を向いて歩いていたんだ。それに比べて、去年優勝した一丁目の連中は大手を振って街中をかっ歩していた。こんなことが来年も続く様なら、わしは本気で死んでも良いと思ったんじゃ」

 

 

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