といって少年と別れました。別れぎわ、少年が、
「僕はもう君と会えないなんていやだ。もっといっしょに練習しようよ!!」
と叫んでいるのがピンクのうさぎの耳にとどきました。
朝がきました。今日はいよいよオルガンの発表会の日です。ピンクのうさぎは今までに16回も発表会にでているのだけれど、発表会でオルガンを弾く前にはさすがに緊張して胸がドキドキしてしまいそうになりました。しかし今回の発表会では楽しんで演奏しようと思ったので、今までになくうまくオルガンを弾くことができました。すると、音楽の国の白いコウモリ大先生が「私のところで練習してみないか?」とピンクのうさぎをさそいました。そうです!ピンクのうさぎは白いコウモリ大先生にオルガンの腕前を認められたのです!!これで大聖堂のパイプオルガンに一歩、近づきました。でも、これで現実の世界のあの少年といっしょに練習することができなくなりました。
そして、音楽の国からお金をいくらかもらったピンクのうさぎは、そのお金であの子が持っていたキーがC以外のD♭やGのハーモニカを音楽の国で買いました。夜になって、少年のところに行きました。今夜は起こしません。眠っている少年の枕元に11本のハーモニカが入っている箱を置きました。耳と耳のあいだにのせてきたとんがり帽子をいつもの癖で思わず少年の方に向けてしまいました。帽子が光りました。少年は夢をみているみたいです。ピンクのうさぎはちょっと夢の中をのぞいてみました。それは、少年とピンクのうさぎがいかにも楽しそうに合奏している夢でした。少年の夢をみたピンクのうさぎは少し安心したのか、持っていたとんがり帽子を箱の上にのせました。
「とつぜんあらわれて、急にいなくなって本当にごめんよ!おいら、君のことは決してわすれない。これからも君に負けないようにがんばるよ!音楽を楽しむよ!そしていつか、いつかおいらが大聖堂のパイプオルガンを弾けるようになったら、君を音楽の国の大聖堂に招待するよ!それじゃバイバイ!」
と少年を起こさないように枕元でそっとささやきました。
おわり