「ねェ私たちって辰よね。イヤだわ、どうして辰年なのかしら…ハトの方が平和そうで良いのに…」

「そうよね。それに辰って十二支の中で、唯一現実にはいないのよね」

「そうだ!うちのお父さん阪神タイガースの大ファンなの。この虎の置物でも…」

と、いいながらリボンの娘は虎を買いました。このとき、龍はポロリと大粒の涙をこぼしました。それをとなりで見ていた兎は、

「あんた泣いてるの?ちょっといわれたくらいで…あんたは強い龍なんでしょ?強いドラゴンなんでしょ?」

と、元気付けようとしました。しかし龍は、

「おいらよりハトの方が良いなんてあんまりだ。そりゃあおいらだけホントはいないけど…そんな、そんな!!」

と、オイオイ泣き出す始末。そこへ今度は、おっとりとしたおばあさんがやってきました。

「おや、ちょうど兎と龍の置物があるよ。年子の孫達に買っていってやろうかしら?卯のお姉ちゃんと辰の弟に…」

 兎と龍はいっしょに、おばあさんに買われていきました。

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