虎・兎・龍

 町の大通りに一軒の小さな土産物屋がありました。店先には十二支の置物のうち、虎と兎それに龍が売れ残って並んでいました。

「龍さん!この中で一番強いのはやっぱりこのオレ様だよな」

と、虎がいいました。

「なにを!おいらの方が強いに決まってる 」

と、龍がいい返します。虎と龍にはさまれた兎がいいました。

「一番強いなんて意味ないわ。つまるところあたい達は売れ残りなのよ…」

「そうだよなあ。思えばあのノロマな牛さんがまっ先に売れちまうなんて」

と、虎が思い出しました。

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