黒鶏はこっちをむいていきなりテーブルの上のトランプをバッシってたたいた。すると、一枚だけカードがひらひらとまい上がった。カードはテーブルの上にふせて落っこちた。黒鶏がそのカードを取ってみんなに見せながら、
「さっきペンギン君が引いたカードはこのスペードの“8”だったかな?」
っていったんだ。やじうまのひとりが、
「そのとおり!!」
ってさけんだ。そうしたら、そこにいたみんなから歓声が上がった。
「これが、タネも仕掛けもない超魔術だ!!」
って黒鶏が得意げにさけんだ。たしかにおいらは、自分が引いたスペードの“8”をトランプの真ん中あたりにまぜたあと軽く切ったから、おいらでもスペードの“8”がどこにあるのか?わからないのに…。けどおいらは、
「その超魔術とやらを“トランプを当てる”なんかじゃなくてもっと大事なこと、世界平和とか、地球環境とかに役立てられないの?」
ってきいたんだ。
「ペンギン君…それをいったらおしまいだよ!」 |