「いや〜!寝台列車で飲むお酒ってなんでこんなにおいしいんだろう!」

「寝台列車で飲むって…列車はまだ動いていないんだよ」

「まあ、いいじゃないか!なあ、アデリー君、君も飲むかい?」

「おいらはえんりょしておくよ」

 そうしているうちに列車は砂漠に一番近い街にむけて出発したんだ。その街には明日の昼過ぎに到着する予定で、明日はその街に一泊して翌朝、軽便鉄道で山脈を越えて砂漠の中にある木を植えるボランティアのキャンプにむかう予定なんだ。夕陽が車内にさしこむ中、おいらはヒゲペンギンのおじさんといっしょに駅弁を食べたんだ。おいらは小あじの押し鮨でおじさんは幕の内。平原に沈む夕陽をながめながら、列車でガタンゴトンと揺られながら食べる駅弁ってホントにおいしかった!おじさんはお弁当を食べ終わった後も乾き物をつまみにウィスキーやチューハイをがばがば飲んでいたんだ。やがて外は真っ暗になり、列車内も消灯の時間がやってきた。おいらは生まれてはじめての寝台列車だったからもっと起きていたかったけれど、二段ベッドの上で列車にゆられていたらうつらうつらとしてきちゃった。

つぎへ、

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