「おや、ライバル君じゃないか」

ってジェンツー君がいったんだ。

「悪いけどジェンツー君、おいらのことライバルって呼ぶのをやめてくれない。おいらはアデリーペンギンなんだからさ」

「ライバル君はライバルなんだから…しかたがないよ」

 気をとりなおして、おいらはカウンターにあった“おしながき”をみた。まぐろ、いか、さば、えび、たこといったお馴染みのものから、大とろ、まだい、えんがわ、うに、あわび、かんぱち、しまあじ、いくら、あまえび、あおやぎ、といったもの、『江戸前にぎり』や『店長のお任せ』っていうセットメニューもあった。それからガストロ、メロ、ティラピア、ナイルパーチ、ブラックバス、ヒモダラなんていうちょっとききなれないネタまであったんだ。店長のお任せ?

「店長って…ジェンツー君がここの店長なの?」

っておいらはきいた。

「あ〜あ、そうだよ。曲の途中でキーを半音あげるわけじゃないけれど…」

店長と転調とをかけたのか?

つぎへ、

HOME