「そりゃあ、もちろん!フンボルトはあれで一流の科学者であり、技術屋だからね」 「ふ〜ん」 博士がとつぜん、 「ベンド弁、開!」 ってさけんで、コクピットの上のほうにあるバルブを開けたんだ。ブクブクブクっていう空気がぬける音がして、ホランド号は深海に向けて沈みはじめた。おいらはずっと窓から外をながめていた。しばらくするとあたりは真っ暗。外の様子はホランド号のサーチライトに照らし出された。おもむろにリュウグウノツカイが立ち泳ぎをしているのがみえた。リュウグウノツカイはこちらに近づいておいらたちをじろりとにらみつけて去っていった。ホランド号はどんどん深海一万メートルへ向けて沈んでいった。途中、ボウエンギョやシロデメエソ、メガマウスやラブカ、チョウチンアンコウやフウセンウナギなんていうグロテスクな魚たちが見えたんだよ。 |