すかさずとなりにいたミミズクが、

「いえ、いえ、そういう意味ではありませんよ。われわれはいつも勝手ながらペンギンさんのことを尊敬しておりまして、それでつい、今はじめて会ったばかりなのに、そんな気がしないもので…ついうかっり!」

といってくれた。助かった!でかしたぞミミズクよ!それでこそわしの一番弟子じゃ。だが、この一件でわしの寿命は確実に十年縮んだぞ!

やってきたペンギンは二羽。一羽はヒゲペンギンのおじさん。“アンクル・ヒゲ”といったところか?もう一羽はその舎弟のアデリー。ペンギンは日本のヤクザというよりはイタリア系のマフィアやシカゴのギャングに近いのかもしれない。やはりあのタキシード姿はそういう意味だったんじゃな。さあ!それから危険な接待がはじまったのじゃ。意外にも、ペンギンは庶民的で助かった。なにせ、急な話だったからたいした料理は出せなかった…つまるところありあわせのものだったんじゃ。ペンギンはわしらの出した料理をおいしそうに食べてくれた。酒もすすめたが、明日は植樹祭があるからといってたしなむ程度だった。夜汽車で大酒喰らって大騒ぎしたとは思えない…。南極のマフィアといえども、普段は紳士なのか?いやいや、油断は禁物!くれぐれも粗相のないようにしなくては!!その日は終日、キャンプ中がいうもいわれぬ緊張感に包まれたのじゃ。

つぎへ、

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