『南下したペンギン』

「???…“天ぷら”?…を食べる?」

「そうよ!」

この時、ロイヤルペンギンさんはこれから二月足らずの間、三食ずっと“天ぷら”を食べさせられ続けるとは考えてもみなかったんだろうな!

ロイヤルペンギンさんは飛行船Z−88からミツバチの巣箱を取り出しながら、

「お湯をもらえるかな?」

っておいらにたのんだ。

「お湯?別にかまわないけれど、いったいなにに使うの?」

「砂糖をとかして、砂糖水をミツバチにあげるんだよ」

「砂糖水を?」

「そう、ミツバチだって生き物だからね…この季節には砂糖水を与えて元気になってもらわないといけない。砂糖水だけじゃなくて、ひまわりやトウモロコシの花粉をあげることもあるんだ」

「養蜂ってのもたいへんなんだね!」

「なにしろ生き物が相手だからねぇ。当たり前だけどミツバチは病気にだってかかる。数年前のことだけれど、私が飼っているミツバチがチョーク病ってのになったことがある。その時には巣箱に木酢をかけて治療したんだよ。とにかくミツバチってやつはすごく繊細なんだ。

つぎへ、

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