「それはよかった。今あらたに柵を作ってるところなんですよ。あれからキミにいわれた通りビクトリア先生に相談したんです。そうしたら先生は牧草がはえてこなくなっちゃったのはこの牧場の土に塩がたまったからだっていうんですよ。それにしてもアデリー君、顔色があんまりよくないみたいだけれど…」

「きのう、いろいろあってね、でも塩が!」

「そうなんですよ、塩が土にたまると牧草は塩に弱いから種をまいてもはえてこないんだそうです。そこで塩に強いアカシアだとかポプラを植えるとそれらはよく育ってくれておまけに土の中の塩をうすめてくれるんだそうです。そうして塩がうすまったところで牧草の種をまけば牧草がはえてくるんじゃないかってことなんです。ポプラやアカシアの苗木を植えてもそこに羊や山羊がいるとそれを食べちゃうから、まず牧場を半分に仕切って、片方に、少しせまくなっちゃうけれど、羊や山羊をよせておいて空き地にした方にアカシアやポプラを植えて塩がうすまったら牧草の種をまこうと思うんですよ。牧草がよく育ってくれたらそこに羊や山羊を入れて、今度は反対がわにもおんなじことをやるんです。そのために今仕切りの柵を作ろうとしてるんですよ。アデリー君、くいを打つのを手伝ってくれませんか?」

「いっ今はかんべんしてくれ〜!頭がこわれるう…」

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