入場料の高い美術館

はやく退散しようと、青いボタンを探したがこういう時に限ってなかなか見つからない。

「ちょっとそこのあんた!何かくれてひとの話しを聞いてんのよ!」

召使いが叫んだ。まずい!あった!!カーテンのかげに隠れようとしたら、そこに青いボタンがあった。あぶなくどやされるところだった!美術館にもどって、”恋文”をしげしげと見つめた。

 ルノワールの”テラスにて”も暖かくて気持ちがよかった。エドワード・ホッパーの”踏切”では、少し霞のかかった昼下がり、芝生に寝そべっているうちに汽笛に起こされるまで思わず昼寝をしてしまった。佐伯祐三の”オーベールの教会”のちょっと傾いた教会の内部を歩くとギシギシいって今にもくずれそうだったので怖かった。ゴッホの”アルルの跳ね橋”では、よく晴れたいい日和だったが、目がチカチカしてきたのでながくは絵の中にいられなかった。

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