雨や雪が地上に降り注げば、その水は地面にしみこんで地下水になるし、地下水は湧き水となってひょっこり地上に顔を出すこともあるだろうし、もしも地面にしみこまなければやがて川や湖、沼の水になることもあるだろう。木々や草花に吸い取られた水は植物のクロロフィルによってエネルギーと酸素とを作り出す。そうして川の水は、結局は海に注ぎ込んで、海から蒸発した水は一周することになるんだよ…あっと、そうだ!ここにかんたんに水の結晶を見ることができる箱がある」

っていって又次郎さんはマントの下から黒い箱を取り出したんです。それからスポイトで海水をちょっとだけ吸い取って、一滴だけ黒い箱の中に落としたんです。

「この箱の中に少しだけ水をたらして、しばし待つ…そして、ここののぞき穴から中をのぞくと水の結晶ができる様子が映し出されるんだ。どうだい?みんなに見せてあげるよ」

ペンギンみんなが順番に箱の中をのぞいたんですよ。そこにはきれいな六角形の雪というか水の結晶があったんです。私めはこんなきれいなもの、生まれてはじめて見ましたよ。


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