「南極!南極にいたことがあるの?おいらは南極に住んでいるんだよ」

「又次郎、あなたは波?ってことなの?それじゃあ風野又三郎はあなたがいなくちゃなんにもできないっていうのはおかしいんじゃないの?だって風が吹かなきゃ、波もたたないから…」

ってフンボルトさんがいったんです。

「なんべんもいわせないでくれ!僕は波野又次郎だい!たしかに風が吹かなきゃあ、波もたたないっていうのは間違ってはいない。でもそれは“見かた”の問題でもある…うん、そうなんだ、きっと!」

「ふ〜ん」

「風野又三郎はホントにキミの弟なの?」

ってイワトビ君がきいたんです。

「ちょっと考えてみてくれ。あいつは又三郎で僕は又次郎だよ」

「けど、キミが波野又次郎っていう証拠はなんにもないんだからねェ。ホントは“又四郎”かもしれないし…」

「たしかにそれは信じてもらうしかないね…それから、海の波だけが波ってわけじゃない。目には見えないけれど、音や光も波なんだよ。そう、世の中のものすべてがそれぞれの波を持っていて、それぞれがそれぞれの波を発したり受け取ったりしているっていってもいい。つまりすべては僕なんだ!波野又次郎なんだよ!」


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