次の日。 あの浜辺からペンギンみんなで沖をながめていると、はるかかなたから又次郎さんが大きな波にのってやってきたんです。 「今日は海の深層循環のはなしをしよう。キミたちにはじめてあった日に海流のはなしをしたよね。海流によって海の水はかきまわされているって。深層循環は海流とは別の海の流れだよ。深層循環は海流といっしょで地球にとってはなくてはならない“流れ”なのさ。深層循環はグリーンランド沖からはじまる。まず、グリーンランド沖で深海五千メートルまで一気に沈み込む。そうして大西洋の深層をゆっくりゆっくり、でも着実に南下して南極まで達する。南極までいくとそこでインド洋方面と太平洋方面とに分かれる。それぞれ今度は北上してインド洋、北太平洋で表層に浮き上がるんだ。深層循環の流れはものすごくゆっくりとしたものなんだよ。グリーンランドで沈み込んでから北太平洋で浮上するのになんと二千年もかかるんだよ。深層循環のおかげで深海に酸素が送りこまれるし、地球の気候が安定しているのもこの循環が一部分でかかわっているっていわれている。浮き上がるところ、湧昇流のある場所ではたくさんのプランクトンが送りこまれて、たくさんの生き物を育んでいる。海流やこの深層循環は、ずっとずっと流れ続けている。そこは風とは違うところさ!風は吹いたりやんだりしているからねぇ。風野又三郎は自慢げに六十五回もいねむりをした、なんていっているんだからね…風ってヤツはなまけものなんだよ!」 「どうしてもキミは風野又三郎を悪者にしたいみたいだね」 ってロイヤルペンギンさんがいったんです。 |