「そんなことはないさ。あいつはいい弟分だよ。前に海流は北半球では右向き、南半球では左向きの力を受けているっていったけど、実は風も同じ力を受けているんだ。あるところに低気圧ができるとそこに向かって四方八方から風が吹きこむ。風はさっきの力も同時に受けるから低気圧に向かって渦を巻くようになるんだ。台風やサイクロン、ハリケーンが渦を巻いているのはこのためなんだ。渦も一種の波だから、結局のところ風も波なんだよ」

「又次郎、あなたはなんでも“波”にしたいみたいね」

ってフンボルトさんがいったんです。

「そんなことはないよ、ぼくはただ真理をはなしているだけだよ。そんなことよりも潮の満ち引きのはなしをしようか。潮汐ってのは一日に二回起こるよね。これは月と地球それに太陽の位置関係によって引きこされるからなんだ。潮っていうのは月と地球と太陽が海の水を引っぱり合うから起こるんだよ。海水は月と地球と太陽の引力をいつも感じているんだね。キミたちはものを落っことしたり、自分が高いところから海へ飛び込んだりするときだけかろうじて地球の引力を感じるだけだろう?やっぱりキミたちは鈍感なんだなあ!」

って又次郎さんはケラケラ笑い出したんですよ!


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