「世の中、信じられないことなんて多いものだよ。だけどこれはホントにみんなの祈りが水に通じたんだよ。人間たちは文化だ!科学だ!っていうものを追い求めているうちにそういった気持ちをどこかに置き忘れてしまったんだよ。ペンギン君、キミたちはそんなことはないよねぇ?」
「でも…やっぱり、ふつうじゃ考えられないわ!」
ってフンボルトさんがいったんです。
「きのう、僕は世の中のものすべてが波を持っているっていったよね…みんなの祈りの波が汚い水をきれいにして、美しい結晶を作らせたんだよ!なにも祈ることだけがきれいな結晶を作らせるわけではない。歌を水にきかせることによってもできるんだ。音も波だからね!ペンギン君、キミたちは鳥なんだから、だれか歌をさえずってはくれないか?」
「えっ!歌!おいらがうたうよ!」
ってアデリー君が申し出たんです。
「それはやめたほうが…」
ってマカロニ君が止めようとしたんですが、なんとアデリー君はすでにうたいはじめちゃったんですよ。なんともそれが前衛的な歌で、うまいのか?どうか?っていうのは私めにはさっぱりわかりませんでしたよ。それにずっと歌をきいているとなんだか偏頭痛が…けれど水の結晶のほうは六角形のきれいな形になったんです。
「あんたの今の歌でこんなきれいな結晶ができるなんて…」
ってフンボルトさんが絶句していると、又次郎さんがいったんです。
「つまり…その、歌は“心”、気持ちだから…」
「ふ〜ん」
今度ばかりは私めにも又次郎さんがいいわけしてるとしかきこえませんでしたよ。
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