そんなの当たり前だよ!それにキミたちはこんなことして暑くないの?」
「ボクらはここで生まれたから別に…」
「優しいペンギンのお兄さんがやってくるってきいたから、あたしたち、みんなで歓迎しようと考えたことなのに…“こんな暑いところでするもんじゃない”だなんてひどいわ、“当たり前だ”なんてひどすぎる…ウェ〜ン!」
って別のオランウータンが泣き出しちゃったんだ。するとほかの六頭も一せいに泣きはじめちゃったんだよ。
「ごめんよ!ごめん、いいすぎた…おいらが悪かったよ!だからみんな泣かないでおくれよ!」
「それじゃあ、おしくらまんじゅうしてもいいんだね」
おいらはなにが悲しくて、赤道直下でおしくらまんじゅうなんかしなきゃならなかったのか?今考えてもフシギだよ。
一汗かいたあと、さっそく引越しの準備をはじめたんだ。保育園からオランウータンの子供たちをつれてジャングルをぬけて、川岸までやってきた。両岸にはマングローブが生い茂っていた。そこから川に浮かんだボートにオランウータンたちを乗せて、おいらとマゼラン君は川の中に入って泳いでボートをロープで引っ張った。そうやって川をさかのぼって、ジャングルの奥地へむかったんだ。しばらく、進むと、川岸の木のてっぺんからテングザルの長老が、
「なあ!ペンギン君、今日はみんなおそろいでピクニックかい?おちびさんたちを連れて…」
ってはなしかけてきた。マゼラン君が、
「ちがうよ!引越しだよ、この子たちの保育園を引っ越すんだよ。今までいた場所は人間たちのせいであぶなくなってきたから、もっと安全なところへうつるんだよ」
ってこたえた。 |