『火を消したペンギン』
おいらはアデリーペンギン。南極に住んでいる。 ある日、おいらのところにマゼラン君がやってきた。 「やあ!アデリー君」 「あ〜あ!マゼラン君じゃないの!久しぶりだねェ!今までどこにいたの?」 「ボルネオ島だよ」 「ボルネオ…また暑いところにいたんだね。そこには宝物があったの?」 「宝物っていうか、ボクはそこでオランウータンの保育園を開いたんだ。保育園は熱帯雨林のジャングルの中にあるんだ。そこには今、七頭のオランウータンの子供たちが生活している。その子たちは母親とはぐれちゃったり、死んじゃったりしたみなしごたちなんだ。オランウータンっていうのは母親から巣の作り方や木の実の食べ方なんかを教わるんだよ。保育園では孤児たちに母親代わりにそういうことを教えたりいっしょに遊んだりしているんだ」 「ヘ〜え!マゼラン君はすごいことをしてるんだね」 「そうでもないけれど…このあいだ保育園のあるジャングルで山火事があったんだ。半年間も燃えつづけたんだよ。それでなんとその火が保育園のそばまできたんだ。保育園自体は焼けなかったけれど、そばまで焼けたから、木がなくなってそのあおりで保育園が乾燥しちゃうんだ。乾燥すると今度また山火事があったときには火がまわりやすくなって、あぶないから、保育園をジャングルの奥地へ引っ越そうと思うんだよ。 |