人間たちにしてみればぼくらオオウミガラスは捕らえやすい、いい獲物だった。たしかにぼくらは世間知らずで攻めてくる人間たちと戦うすべを知らない。それにぼくらは魚やオキアミを食べて生きている。だから、人間たちに食べられてもある意味ではしかたがないことだと思う。だからといって、人間たち完全に滅ぼされる覚えはない。ぼくらは地球上の生態系の中でこれまでずっとうまくやってきたつもりだ。だが、やつらは限度というものをまるで知らない。スカンジナビアやグリーンランド、ニューファウンドランドと、ぼくらオオウミガラスの仲間はやつらに滅ぼされていった。フェール島やセント=ギルダ島の仲間もやられた。そして残るはオーク・ロックスっていう島々のゲイルフーラスカと呼ばれている岩場が唯一のぼくらオオウミガラスの生活の場だった。そこは人間たちが簡単には近付けないけわしい岩場だったんだ。けれどある時、ゲイルフーラスカははげしい地震に見まわれた。ぼくらの生活の場は地殻変動によって海の下に消えうせた。しかたなく、ゲイルフーラスカから近くのエルデイ島に移り住んだ。すでにぼくらは世界中で50羽くらいになっていた。 |