人間たちはオオウミガラスを“貴重なもの”と考えるようになったんだ。けれどやつらはぼくらのことを救ってくれはしなかった。やつらは最後の50羽を食べるためでもなければ油をとるためでもなくて、ぼくらを剥製にして博物館っていうところに飾るために生け捕りにしていった。ぼくはただ一羽、エルデイ島をぬけだして西へ逃れた。今ぼくは名もない島で孤独に暮らしている。ぼくにはもうヒナを残すこともできないし、ぼくもやがては死んでしまう。北のペンギン、オオウミガラスは地球上から消えてしまう…確実に。ぼくは今こうして、キミたち、南のペンギンたちに宛てて手紙を書いている。キミたちにはぼくらのような末路をたどってほしくはないから…。どうか、キミたちにはやつらとうまくやっていく方法を見出してほしい。少なくともやつらに滅ぼされる前に。この手紙がキミたちのところに運よく届いたのなら、真剣に考えてほしい。これがぼくにできる最後のことだ。とにかく、やつらには気をつけろ!これはキミたちへの警告だ。

1844年6月

北のペンギンことオオウミガラスのゲアファウルより

 

 おいらはアデリーペンギン。南極に住んでいる。おいら、キミたち人間のことをいったいどこまで信頼していいの?

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