早春にて・その1


私の足元にあるベンチにすわった。“パイプの青年”はしばらくくつろいでからリュックの中からなにか取り出した。きらきら光るそれはローズウッドと金でできたハーモニカだよ。おもむろに“パイプの青年”はハーモニカを口にあてた。すると私にとまっていた鳥たちが数羽とつぜんはばたいた。バタバタと音をたててね。“パイプの青年”はハーモニカを吹くのをちょっとためらってから、気を取り直して吹き始めた。
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