早春にて・その1


 私はホウノ木。私の根元には小さなベンチがある。毎日、そのベンチに様々な人が訪れる。さて、今日はどんな人がやってくるのやら…。

 道のむこう側からひとりやってくるよ。緑で三角の古帽子を目深にかぶって緑のレインコートをはおって、えりまきをして…それに口にはパイプ。リュックを肩からさげている。どうやら旅の途中のようだ。
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