『花を咲かせたペンギン』

 おいらはアデリーペンギン。南極に住んでいる。

 ある日、おいらはヒゲペンギンのおじさんの酒蔵へおじさんをたずねにいったんだ。けど、おじさんはあいにく留守で酒蔵はがらんとしていた。そこでおいらはおじさんを探しに酒蔵の裏山にいった。しばらく裏山をうろついているとどこからともなくカ〜ン、カ〜ンっていう音がきこえてきた。音がなってるほうへいってみると、ヒゲペンギンのおじさんが木に登ってなたをふるって枝を落としていたんだ。

「おじさん!なにしてるの?枝打ちをしているの?」

「やあ!アデリー君じゃないか。フム、そうだよ。桜の枯れ枝を切っているところなんだ」

「えっ!桜を切っちゃってるの?おじさんはとうとうバカになっちゃったの?昔からいうじゃない…“桜切るバカ、梅切らぬバカ”ってさ!」

「それは昔からの迷信だよ。桜だって枯れ枝や病気にかかった枝をきちんと切っておかないと、木全体が枯れて死んでしまうんだ」

「それにしても、こんな寒い時期に枝打ちをするの?花が咲くのはまだ先でしょ?」

つぎへ、
ホーム