「アデリーなにをそんなに落ち込んでるんだ?」

って王様がきいたんだ。アデリー君はうつむきながら、

「王様!おいら、なんだか世の中がイヤになっちゃいましたよ」

ってこたえた。

「世の中がイヤになっただって?アデリーらしくもない…いったいどうしたっていうんだ?」

「この前おいらはクジラのパーティーにでたんですよ。その最後にコククジラの一家が、私らはふえすぎちゃったから天国へいくんだよ、なんていいだしたんだ。もうこれ以上オキアミやら小魚やらを食べるとほかの生き物にめいわくをかけるからって、自分から浜へ打ち上げられて一家そろって死んじゃったんだよ!コククジラのおばさんは死ぬ前に、地球上の生き物はみんな食う食われるの見えない鎖でつながってるっていってた。でもそれは弱肉強食だってことでしょ?そんな世の中で生きていてもしようがないし、それにおいらはふつうのペンギンよりも食いしん坊だから、ほかの生き物によけい多くめいわくをかけちゃうから、もうなにも食べずに死ぬんだ!イヤ、死にたいんだ!!」

「フム、そうか!アデリーちょっとつきあえ!」

って王様はアデリー君を海の中へ連れだしたんだ。

つぎへ、

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