「まあ、服用する量を間違えたらしい」 「薬って?」 っておいらがきくと、 「フンボルトが発明した“毛生え薬”だよ。副作用というか?頭だけに毛が生えてくるのか?と思っていたら体全体に生えてきちゃって…きっと、次の換羽までこのあり様だ。まったく暑くてしかたがないよ」 って全身サラサラな毛むくじゃらの博士がこたえてくれたんだ。おいらはこのときばかりは菜の花畑のほうを選んでよかったと思ったよ!そして、廃食油を燃料にする機械を借りたんだ。フンボルトさんのところにもどって一斗缶に入った油を博士から借りてきた機械に入れた。すると機械からディーゼル油が出てきたんだ。それからあいかわらず、フンボルトさんは食事に天ぷらを出してくれた。この前はイチゴとみかんの天ぷらだった。わざわざ天ぷらにしなくてもよさそうなものなのに…。フンボルトさんがいうには、お菓子感覚で食べられるんだってさ。 ある日、ロイヤルペンギンさんが飛行船Z−88にのって北からあらわれた。しばらくの間、ここの菜の花畑で養蜂をするんだって。そしてなんと!ロイヤルペンギンさんはフンボルトさんが揚げた天ぷらを食べてくれたんだ。最初はおいらとおんなじようにフンボルトさんの天ぷらをおいしい!おいしい!って食べていてけれど、ここでの養蜂を終えるころには、隅田川五三郎直伝の天ぷらを目に涙を浮かべながら食べていたよ。 |