春先、アブラナが黄色い菜の花を咲かせたんだ。広大な黄色いじゅうたんができた。すると食事になんと“菜の花寿司”が出てきた!フンボルトさんによるとこの菜の花寿司は道端篤朗直伝なんだってさ!ホントにこれがさっぱりしていておいしくてね…おいらは菜の花寿司がこんなにもおいしいものだとは思わなかったよ。天ぷら以外のものにありつけたのは半年ぶりくらいだったしね。その次の食事はタラノメの天ぷらに逆戻り。けれど、菜の花のからし和えがいっしょに出てきた。おいらは天ぷらよりもはしやすめのからし和えのほうをいっぱい食べちゃった。しばらくのあいだ、天ぷらといっしょに菜の花のおひたしやからし和えが食事に出されたんだ やがて、花が枯れてナタネを収穫するときがやってきた。コンバインで刈りとったんだ。そのコンバインは、おいらたちがイヤというほど食べさせられた天ぷらの廃食油から作ったディーゼル燃料で動かしたんだ。コンバインから天ぷらくさい排気が出てきた。おいらはそれをかいで、思わずゲップが出ちゃったよ!それからナタネとさやに分けて、さやは蒸し焼きにして“くん炭”ていう炭にしたんだ。くん炭は畑にまいた。一方、ナタネは乾かして、菜種油を絞った。たくさんの油がとれたんだよ。けど、あ〜あ!これでこれからもずっと“天ぷらづけ”かあ!と思うと複雑な気持ちになったんだ。フンボルトさんは、来年はもっとたくさんの菜の花を栽培するわよ!ってさっそく生きこんでいるし…。 おいらはアデリーペンギン。南極に住んでいる。天ぷらはもうたくさんだよ! |