そして次の日はナタネを畑にじかにまいた。植木鉢で苗を育てるのとは別にね。そんな作業を一週間くらい続けた。仕事のほうは順調だったんだ。鉢に植えたアブラナは芽が出て双葉をつけて本葉が出た。けれど、少し問題もあったんだよ。それはフンボルトさんが出してくれる食事。一週間、三食すべて天ぷらだった。いくら食いしん坊のおいらだってこれじゃあ、ちょっと…。ということでおいらはフンボルトさんにきいたんだ。

「天ぷら以外のメニューはないの?」

「えっ?どうして?」

「確かにおいしいけれど天ぷらばっかりじゃあ…」

「あたしの作った天ぷらに文句があるの?隅田川五三郎直伝なのに!」

「隅田川五三郎ってどこの誰なの?ってそうじゃなくて、なぜ天ぷらばっかりなの?このままじゃあ、おいら痛風になっちゃうよ」

「去年の春にナタネから絞った油があまっているの。今年の春には今植えているアブラナから油を絞るのよ。だから今のうちに去年の菜種油を消費しなくちゃならないのよ!」

「そんなにムリしなくても…」

「そうじゃないと、このプロジェクトが完全なものにならないわ!ナタネから絞った油を食用にして、それで残った油で石けんや燃料を作るんだからね」

「だからって、ムリに食べなくても…それじゃ、本末転倒だよ!」

つぎへ、

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