「さあ!ひと仕事終えたから、ごはんにしましょうか?」

ってフンボルトさんが呼びかけた。

「えっ!?ごはん!食事を出してくれるの?」

「そうよ、あたしだってオニじゃないから、ただ働きさせるつもりはないわ。さあ!エビの天ぷらよ。隅田川五三郎、直伝の天ぷらなんだから…それにね、天ぷら油には今年の春に収穫した菜種油を使っているの、食べるのも仕事なんだから、どうぞ召し上がれ」

「へ〜!さっきおいらが植えたあの種から絞った油かあ!カラリとあがっていておいしいよ。香りもいいし…それにしても隅田川五三郎って誰だ?」

食事の後、再び植木鉢にナタネを植えたんだ。日が暮れてくると、フンボルトさんがまた食事を出してくれたんだ。今度はサツマイモの天ぷらだったんだ。これがまたおいしくて!

 次の日、あまった天ぷら油から石けんを作ったんだ。まず、天ぷら油をこして、その中に苛性ソーダを入れて煮込んだ。きれいな粉石けんが出来上がったんだよ。その日もフンボルトさんは三食きちんと出してくれたんだ。にんじんの天ぷらとシイタケの天ぷらそれにアナゴの天ぷらだった。

つぎへ、

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