さてさて、今回の物語は・・・?


〜絶滅したトキ、ニッポニアニッポン〜

絶滅したトキ、ニッポニアニッポン。今はもういないニッポニアニッポンを探し求める行為をモチーフに、「日本」という故郷を探す人々の姿を重ね合わせ、今の日本の姿を浮かび上がらせていきます。

《望郷 ぼうきょう》とは「自分の故郷に帰りたくなる思い・故郷を思い出す」という意味

 



〜春を告げる鮭、時不知(ときしらず)〜

秋に取れる白鮭と同じでありながら帰る時を忘れた時不知は春に取れる。その味は絶品で塩のきいたその腹そのまま焼いて食べると良い塩加減である。甘味があり、脂のりも最高で価格も高い。その薄いオレンジ色の体をひるがえしながら時不知たちは自分の産まれた母川へと向かう。ロシアのカムチャッカ半島にある川を母川とする鮭にとって日本は帰りの通り道なのである。そんな時不知からインスパイアされ、「帰る時」を忘れてしまった男達の物語である。

 

黎明篇 あらすじ

いつもどおりに家に帰って玄関を開けた扉男は、呆然とした。扉を開けても開けても、自分の部屋などなく、扉から飛び出すのは「トキイラズ」と呼ばれる人々。背中に自分一人の棺おけをしょって、"どこで死のうがかまわない、故郷などいらない"というのがモットーのトキイラズたち。扉男がまた別の扉を開けたとき、日のでと出会う。日のでの生い立ちを探す旅に、扉男は知らず知らずに巻き込まれていってしまう。その旅の道づれの果てに、扉男は真実を知ることになる。

《黎明 れいめい》とは「物事が起こる前・夜明け」という意味

 

 


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