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村上桜子の「日本三文オペラ」雑記

2004年5月17日〜23日にウルトラマーケットで公演された
「日本三文オペラ」
稽古の様子や、本番の舞台裏を村上桜子がこっそり書きとめてみました。


歌の稽古

同じく

ガランとしたウルマー

搬入!

足場を組みます。

2004年4月某日、大阪城公園内ウルトラマーケットにて「日本三文オペラ」の稽古が始まった。
今回のこのプロデュース、もうすべてがすごいことだらけ!!

何がそんなにすごいのか・・・

まず舞台。
二階建て・・・何それ!?しかもただの二階建てではない!
花道が上手と下手にそれぞれのびていて、花道沿いに二階建てのバラック小屋がびっしりと並んでいるとな?
その小分けされた部屋の一つ一つにはそれぞれの役者が数名ずつアパッチとして住んでいるのです。
家族で住んでいるもの、うどん屋を営むもの、居候を囲うもの、ほんとそれぞれ。
部屋割りは、なんと内藤さんが「○○と、○○上手の二階奥。」なんて言いながらさくさく決めていきます。
さながらアパッチ部落の大家さんですね。
舞台奥には物干し台があり、そこを通って隣の家にも侵入し放題。見ているだけでわくわくします。

ある程度美術が組まれると、各々そこに住むべき役者が自分の部屋を飾り付けていきます。
日ごろの貧しい生活の影響からか?スルメ(ホンモノ、本番中もくさいくさい!)を干す中村隆一郎。
舞台が出来てから急に割り当てられた部屋をうきうきしながら、 「それ、干す意味あるの?」と思えるボロ布を大事そうに飾る樋口美友喜。
大まかな装飾が出来あがると、美術スタッフの方が仕上げにと見事に雑多なものを散らかしていく。
普段なら舞台上に食べ物やゴミが散らばると必ず後片付けをするのだけど、今回に限ってはそれも生活の一部だからとそのまま放置される。 回を重ねる毎に生活臭を漂わせていく舞台・・・

次に、出演者数。
総勢60名以上!らしい。・・・らしい??
というのは、本番中は毎日日替わりで飛び入りのゲスト参加があったので、アパッチ部落の人口は日々変化していく。結局何人いたのだろう・・・?
稽古中も稽古場に行くと劇団員も見失うほど。毎日同じ場所にいるのに数日話さないなんてこともしばしば。
帰り道に「あっ、なんか久々に会ったね。」なんてわけのわからない会話が交わされたり。

いろんな人がいた。
大阪城公園には鳥や猫もたくさんいる。
人酔いしそうな中で、それらの生き物に対する対応も人それぞれ。
はじめはかわいがっていたが、そのうち同化してナワバリ争いをする人がいたり。
ウルトラマーケットの中には実は猫も勝手に間借りしていたのだが、あれはもしかすると猫に同化した人間だったのかな?
知らない間に人が猫になっていてもきっと誰も気付かない。だって知らない人が混じっていても気付かないんだもの。

そんなごった煮のような全てのものを内藤さんが一方向に向かわせる。
あの倉庫の中をいろんな人間が一斉に驚いたり、笑ったり、怒ったりする。
あのアパッチ部落で私達は人間として生きなければならない。
それが今回の日本三文オペラだ。

気がつけば間借りしていた猫も本番直前にいなくなっていた。
内藤さんが知らない間に人間に戻してくれたのかしら?

2004年5月25日


花道のバラック小屋

ごはん60人前!

炊き出しは私達に

まかせて

にゃー!

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