クラシック・ルネサンス
〜教科の書〜

「犬殺し」作:藤井真澄 「首を斬る瞬間」作:秋田雨雀

演出:池田 祐佳理



〜クラシック・ルネサンスとは?〜

  クラシック・ルネサンスとは 昨年行われた「第3回大阪演劇祭」を皮きりに、
今後芸術創造館の主催事業として長期的に続けていく企画として、
近代劇の名作といわれる作品を、現代の演出家が検証しようというものです。
参加する演出家や評論家で戯曲研究会を組織し、その年の候補地域・候補作家を選定して、
古典作品の勉強会のような形式をとりながら、作品の読解・上演品目の決定をしていきます。

●クラシック・ルネサンスが、どうして近代の作品の上演なのか?●

 芸術創造館が稽古場であるということから、普段自分たちではやらないような試みに挑戦。
バックボーンとして、先達の知識を得る。温故知新。

●戯曲の書きなおしはありか? ●

戯曲に敬意を払うというのが前提。基本的に手直しはなし。演出で工夫するという条件での公演となります。

●近代劇っていつの時期の作品?●

日本近代劇といっても明確に時期の定義があるわけではありません。
したがって、“上演台本”から“文学作品としての戯曲”へと成熟したといわれる大正〜昭和初期の時期から
活躍していた作家の作品とこの企画では限定しました。

以上、芸術創造館HPより転載しました。



「犬殺し」

どもりで、足を引きずっており、そこにいるのかいないのか、
小使いは毎日工場で同僚に馬鹿にされながら働いている。
社長の令嬢が愛玩する犬のジャイアントが行方不明になり、
泣き声が聞こえてくる蔵の中を小使いと令嬢が覗き込んだそのとき・・・。(池田筆)


「首を斬る瞬間」

無実の罪をきせられた商人。捕らえられた先には、権力が
あるが故に孤独な、そして我を忘れた王がいた。
子供の頃は読みもしなかった教科書をこの年になって開い
てみると、気がつけばどんどんその世界にのめり込んでいく・・・
そんな気分になる作品に出逢えました。
2作品ともその時代の労働者階級がありますが、現在でも
人間の奥深くに潜んでいる心の卑しさ、悲しさ、希望など、
2作品を1つの芝居に仕上げます。(池田筆)


*藤井真澄(ふじいますみ) 1889〜1962 岡山県生まれ。
早大在学中から戯曲を書きだす。社会主義と演劇への志向から中央公論を退職後、雑誌「黒煙」を主宰し、自作品を多数発表するとともに、労働文学を中心とする編集方針を打ち立てる。中村吉蔵らと「演劇及映画講義録」を発行し、日本映画学校講師も務めた。

*秋田雨雀(あきたうじゃく) 1883〜1962 青森県生まれ。
早大在学中に詩を書き始め、当初は詩人として出発。後に戯曲を発表し劇作家としての地位 を確立。やがて人道主義から社会主義に共鳴。演劇雑誌「テアトロ」の創刊者であり、舞台芸術学院の創立者としても知られる。  



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