私鉄時刻表への招待 第2回

京成電鉄

(京急時刻表に列番が掲載されてもやっぱり京急ファン御用達(笑))

京成電鉄の全線を掲載した時刻表は、「京成電車時刻表」という名前で昭和56年11月に創刊されました。それ以前は「京成電車時刻表・ダイジェスト版」というものを発行していたようですが(小学館コロタン文庫51「鉄道時刻表全百科」に写真が掲載されています)、何回発行されていたかは不明です。どなたか知っている方がいらっしゃいましたらメールをいただければ幸いです。

以下に、京成電車時刻表(16号から京成時刻表に改称)の発行履歴を示します。なお、京成時刻表は「時刻表発行の記録」が掲載されており、いつどんな時に発行されたかが判るようになっています。(下線が付いている号は、表紙がご覧になれます。)

号数 発行年月日 内容など
創刊号(*1) 1981-11-15 1981-10-1ダイヤ改正
第2号 1982-12-15 ユーカリが丘駅開業
第3号 1983-10-1 1983-10-1ダイヤ改正、都営車使用の急行運転開始
第3号・改訂版 1984-12-20 1984-11-24駅名改称(谷津遊園→谷津)、1984-12-1イブニングライナー運転開始
第4号 1985-11-19 1985-10-19ダイヤ改正、青砥〜京成高砂間複々線化完成、モーニングライナー・通勤特急運転開始、都営車使用の急行大幅増加、都営車使用の京浜川崎発京成成田行急行登場、時刻表やや大型化(縦に長くなる、新書判→A5変形判)、時刻表に車両数表示登場
第5号 1986-11-1 宗吾参道行の普通・急行登場
第5号・改訂版 1987-6-10 1987-4-1駅名改称(国鉄千葉駅前→京成千葉、京成千葉→千葉中央、センター競馬場前→船橋競馬場、葛飾→京成西船)
第6号 1988-4-16 1988-4-1ダイヤ修正、210形全廃にともないスピードUP
第7号 1989-7-30 1989-7-30ダイヤ修正
第8号 1991-3-19 1991-3-19ダイヤ改正、成田空港ターミナル乗り入れ及び成田空港駅開業、駅名改称(成田空港→東成田)、京成車の京急線乗り入れ復活及び三崎口発京成成田行通勤特急登場(京急線内特急)、京急川崎発京成成田行き急行消ゆ、1991-3-31北総・公団線相互乗り入れ開始、史上初の4線相互直通
第9号 1991-8-27 1991-8-7ダイヤ修正、京成幕張本郷駅開業
第10号 1992-4-1 1992-4-1ダイヤ改正、千葉急行線開業、この号から新京成線及び北総・公団線全駅全列車掲載開始(北総〜新京成直通列車の時刻が掲載されている唯一の号)
第11号 1992-7-17 1992-7-17ダイヤ修正、宗吾参道〜京成成田間線形変更に伴いスピードUP、北総線ダイヤ改正(北総〜新京成直通廃止)
第12号 1992-12-3 1992-12-3ダイヤ修正、空港第2ビル駅開業
第13号 1993-4-1 1993-4-1ダイヤ修正、京急空港線羽田まで直通開始、都営車による三崎口行き登場
第14号 1994-4-1 1994-4-1ダイヤ改正、公津の杜駅開業、駅名改称(荒川→八広)、土休ダイヤ登場、この号から京成・千葉急・新京成・北総・公団線の時刻表の平日が白いページ、土休日がピンクのページに、他社線連絡時刻表・営業案内・バス案内等がブルーのページとなる、今までの全線一覧掲載から千葉線・千葉急行線が別ページの掲載となる
第15号 1995-4-1 1995-4-1ダイヤ改正、北総・公団線延伸、千葉急行線延伸、スカイライナーの上り京成成田停車便の増加、この時惜しくも京成車の三崎口発京成成田行通勤特急が廃止、都営車の千葉ニュータウン中央発三崎口行登場
第15号・改訂版 1995-9-1 1995-7-20京急線ダイヤ改正に伴う一部列車の行き先変更、1995-9-1運賃改定
第16号 1996-7-20 1996-7-20ダイヤ改正、朝ラッシュ時の通勤特急の所要時間短縮、早朝下りスカイライナー増発、この号から「京成時刻表」が正式名称に、都営車使用の急行が減少したものの、新たに都営車使用の羽田発の急行(平日:東成田行、休日:京成成田行)が登場
第17号 1997-9-20 1997-10-4京急線・都営浅草線ダイヤ改正に伴うダイヤ修正、この号から都営浅草線の全列車及び京急線品川〜泉岳寺間の全列車が掲載になる
第18号 1998-11-10 1998-11-18ダイヤ改正、京急線羽田空港駅開業に伴い、成田空港駅〜羽田空港駅間直通特急列車運転開始、「通勤特急」の名称廃止(「特急」に変更)、京急・都営車の京成上野・成田空港乗り入れ開始、京急車使用の急行が初登場、この号から都営浅草線押上〜泉岳寺間の全駅時刻が掲載になる(都営浅草線特急運転に伴うもの)、時刻表のサイズが変更され(A5変形判→B5変形判)、再び京成線全線が一覧できるようになった。
第19号 1999-7-23 1999-7-31一部ダイヤ改正、平日19本・土休日3本の列車の行き先を羽田空港行きに変更。また、京急空港線の京急蒲田〜羽田空港間の全列車の時刻も掲載開始。時刻表の印刷担当が大日本印刷からJTB印刷に変更され、雰囲気が多少変わった。
第20号 2000-7-7 2000-7-22ダイヤ改正、北総・公団線延伸(印西牧の原〜印旛日本医大)、平日朝ラッシュ時の特急所要時間短縮、早朝の羽田空港行き、平日夜間の羽田空港発増強など。紙質が変わって開きやすくなった。また、前号より薄く感じられるものの、ページ数はさほど変化がない。本文では京急線直通列車の京急線内の種別も表示されるようになった。
第21号 2001-9-1 2001-9-15ダイヤ改正、下りスカイライナーの増発、平日朝ラッシュ時の押上線特急増発(北総線からの直通)、平日夜間の都営線からの特急増発、土休日朝・夜間の羽田空港発着列車増強など。パスネット案内が充実し、沿線案内は中程に移動。「時刻表の使い方」に説明用の時刻表登場。本文では八広の着時刻掲載開始。
第22号 2002-10-5 2002-10-12ダイヤ改正、「通勤特急」・「快速」の新設、成田空港〜羽田空港間直通特急及び押上〜京成高砂間を除く「急行」の廃止、10月27日の芝山鉄道開業に伴う直通運転開始など。京急車の京成上野乗り入れ終了。三崎口発成田空港行き特急及び京成成田発三崎口行き快速(京急線内特急)の登場。沿線案内は行事カレンダーのみとなる。本文では上りでユーカリが丘の着時刻掲載開始。また、京急空港線の京急蒲田〜羽田空港間の全列車の時刻表の掲載を取り止めている。
第22−2号
(改訂版)
2003-7-19 7月19日ダイヤ修正。スカイライナーの京成成田停車便の増加や、京急線ダイヤ改正に伴う快速の羽田空港までの所要時間の短縮など。今号は第22号の改訂版であるが、22−2とハイフンが付く形となる。本文では京成高砂などで種別変更がある場合に矢印を付け、同じ車両が直通することを明示した。また、営団半蔵門線・東武線押上駅開業に伴い、押上駅の発車時刻表の掲載並びに営業案内ページでの半蔵門線運賃表の掲載が開始された。
第23号 2004-10-30 10月30日ダイヤ改正。夜間都営浅草線内「エアポート快特」運転の特急・通勤特急の登場、モーニング・イブニングライナーの増発、特急・快速のスピードアップ及び通勤特急の増発など。今号よりスカイライナー以外の上野・日暮里〜成田空港間のアクセス時刻表及び成田空港〜羽田空港間のアクセス時刻表の掲載が開始された。また、主な車両の紹介や宗吾車両基地の見学案内が掲載された。紙質が変わり、16ページ増えただけにもかかわらず分厚くなったように見える。

*1
創刊号提供:宮野 和夫さん


京成時刻表あれこれ

1.改訂版の存在!?

時刻表に改訂版が存在すること自体珍しいことですが、京成では過去3回「改訂版」の名の付く時刻表を発行しています。「改訂版」が発売される条件としては、駅名改称や運賃改定、京急線のダイヤ改正にともなう行先変更等があります(第3号改訂版は、イブニングライナーが登場したときの号ですが、恐らくイブニングライナー自体の時刻変更のみで、他の列車に影響を及ぼさなかったため、正式号ではなく改訂版になったものと考えられます。)。他社の場合ならば絶対に時刻表を出さないケースですが(極端な例でいえば、京王はかなり大規模なダイヤ改正でない限り時刻表を出さない)、発行する所に京成の時刻表に対する心意気とともに乗客に対するサービス精神が見て取れます。

2.京急ファンも発行が待ち遠しい!?

最近は京急・京成同時ダイヤ改正というのも増えましたが、京成のダイヤ改正・修正が近づくと、京急ファンも時刻表の発売を待ち望みます。何故?それは「列車番号」の存在です。「なぁ〜んだ、それなら他社の時刻表でも載ってるじゃん!」確かにそうですが、日本一複雑さを究めた運行体系のため、列車番号でどの会社の車両が入るか一目でわかるこの「京成時刻表」が重宝されるのが一点、もう一点は1998年までは京急の時刻表には列車番号が載せられていないことにありました(現在は掲載されています)。まあ、普通に時刻だけを調べるのなら列車番号はいらないものなのですが、我々鉄道趣味な人々には必要不可欠なものなのです。

3.種別欄に「種別板」の名残が・・・

京成時刻表の特徴の一つとして、種別欄に記号を使っていることが挙げられるでしょう。他社の場合であれば「特急」・「急行」などと普通に表記する所ですが、京成はこの欄に車両に表示される「種別板」をデフォルメしたものを用いています。スカイライナーはすでに引退したAE形のヘッドマークをデフォルメしたもの、特急は六角形の中に「特」の文字、通勤特急は「通」の文字を挟んで斜め線、急行は○の中に「急」の文字というように表記されています。また、第22号より通勤特急・快速が新設され、通勤特急は今までの表記と異なり□の中に「通」の文字、快速は21号までは京急の快特用に使われていた○の中に「快」の文字という表記が採用されました(京急の快特は○の中に「カ」に変更)。最近は種別表示も幕式になり、通勤特急は復活しましたが通常の文字表記となってしまい、急行も殆ど廃止され、特徴ある形は見られなくなりつつありますが、時刻表の中にだけはいつまでも残っていて欲しいものです。

4.「第8号」は2つある!?


見た目には何も変わりがありませんが・・・

これはかなりマニアックなお話です。第8号が出た時のダイヤ改正は91年3月19日でした。この改正では成田空港ターミナル乗り入れと北総開発鉄道2期線開業が目玉でした。この北総線の開業が3月31日であったため、時刻表にも多少影響が出ました。
 3月19日に発売された「第8号」は、3月31日以降の時刻が掲載されていますが、「北総線に直通する列車は3月30日までは青砥・高砂行きになります」と書かれた別紙が挿入されていました。また、北総線の運賃は掲載されていませんでした。さらに、停車駅案内図も東成田へは普通・急行・通勤特急のみが行くような形に表示されていました(実際は休日に特急東成田行きが存在)。
 この号は好評で売り切れる売店が多かったと見え、4月を過ぎて増刷されました。増刷された「第8号」は前の「第8号」で抜けていた部分(北総線の運賃停車駅案内で東成田に特急も行くように表記)が修正されていました。
 ということで、「第8号」と名の付く「京成電車時刻表」は2バージョン存在するのでありました。

5.縦にのび〜る伸びていく〜!!

 伸びると言っても路線延長の話ではなく、時刻表のサイズのお話です。創刊号から第3号改訂版までは新書版でした。それが1985年11月発行の第4号からは待避・接続駅の着時刻を掲載するようになったため、サイズがA5変形版に変形されました。その後、1994年4月発行の第14号では千葉急行線(現京成千原線)を含む全線一覧表示をやめ、千葉線・千葉急行線は別ページ掲載となりました。さらに、京急線羽田空港駅開業に伴う改正のあった1998年11月発行の第18号では再び全線一覧表示が出来るようにサイズがB5変形版に変形されました。よって、縦方向の延長が2回あったわけです。
現在でも変形版を保っているのは持ち運びが出来るようにとの配慮かと思われます。しかし、縦が長くなりすぎてもまた不便だなとも思ってしまいますが・・・


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参考文献:「京成電車時刻表」・「京成時刻表」各号、三宅俊彦著「時刻表百年のあゆみ」成山堂書店、コロタン文庫51「鉄道時刻表全百科」小学館

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