閑老人のつぶやき 外国語の授業における共同学習
外国語の授業における共同学習
日本の中高等教育におけるEFL(外国語としての英語教育)状況のための分析と提案
デイヴィッド・E・クルーギー
梗概:教育的諸問題への可能な解決法を求めるとき、考えられたその解決法は効果的であるとともに、社会的に受け入れられるものでなくてはならない。日本の英語の授業の問題は、学生たちを英語を使う活動にもっと参加できるよう動機づけることである。ひとつの可能な解決法は、グループワークの使用であり、それは効果的であるとともに、社会的に受け入れられるものであることが示される。しかしながら、グループワークにはそれ自身の問題がある。特にそれは活動を準備したり、活動の進め方を説明したり、活動を遂行したりするために必要な時間に関連している。活動が実行されたあとでさえも、しばしば成功したとは言いがたいときがある。これらの諸問題に対処するために、共同学習(Cooperative Learning)と言われる、ある特殊なタイプのグループワークが、日本における中等教育、後期中等教育での英語教育のために提案される。共同学習もまた効果的であり、かつ社会的に受け入れられるものであることが示される。したがってそれは英語を使う活動に日本の学生たちが参加するよう動機づけるという問題への有効な解決法なのである。
1.序文
外国語教育においては、問題は、外国語教育が改善されるべき主要な領域を確認し、その上で解決法を提案することである。解決法がうまくいくのは、それが効果的であるとともに、教師と学生双方の社会的に受け入れ可能なパターンに適合するときである。Strevens (1987) は、外国語の制度化された教育と学習を理解するための彼のモデルにおいて、外国語教育と学習のプロセスの四つの構成要素を確認している。すなわち外国語教育という職業、教師、学習者、そしてこの論文のもっとも重要なこととしての、地域社会である。彼は、学校における外国語教育への地域社会の影響を、公衆の意思と、学校の管理者および組織とに分けて、次のように述べている。管理者と組織の課題は、公衆の意思を感じとり、授業の中でその意思を履行することであると。公立学校制度の伝統的な組織図では、地域社会はその組織図の頂点に位置づけられている(Lyman and Foyle (1990))。その意味するところは、もしある教授法がその地域社会によって価値あるものと考えられないのであれば、管理者、管理者によって雇用される教師、そして組織によっていかに学ぶべきかを訓練されてきた学習者は、その風変わりな教授法を受け入れないであろうということである。たとえば、「サイレント・ウェイ」は日本で成功しなかったが、たぶんそれは地域社会が、教師は教えるのが当然であって、黙っているべきではないと考えたからであろう。他方、「トータル・フィジカル・レスポンス(TPR)」は、初等教育低学年のレベルを越えて成功してきたとはいいがたいが、たぶんそれは学習はつらいものであって、面白いはずがないという日本の地域社会の態度のせいであろう。だから、気づかれた問題への解決法が成功するためには、学校システムの中で教師と学習者に順に影響をおよぼす、地域社会の態度というものが十分に考慮されなくてはならない。
それでは実行可能な解決法を必要とする問題とは何であろうか。日本における中等教育および後期中等教育のレベルでの英語の授業の問題は、その目標とする言語による活動に学生たちを巻き込み、参加させるということである。この問題の解決法はいくつかある。ペア・ワーク、インフォメーション・ギャップの活動、ロール・プレイ、トーナメント、ゲーム、グループワークなどなどである。しかし日本の社会にとっての最善の解決法はどれなのだろうか。上に示唆された解決法の中で、グループワークが最善の解決法であるように思われる。
2.グループワークについて
グループワークは効果的であるとともに、日本の社会的パターンに適合するひとつの解決法である。
2.1.グループワークの有効性
グループワークは効果的な外国語授業の活動であることが証明されてきた。LongとPorter (1985) はグループワークがなぜ効果的であるかについて五つの教育学的な理由をあげている。
i. 練習の機会を増やす
数学的に言って、教師が学生をグループに分けるならば、より多くの学生が、より頻繁に、より長い時間、話す機会をもつが、もしその授業が伝統的なやり方であれば、教師がすべてのやり取りを主導し、一度にただひとりの学生がそのやり取りに参加すること許されるだけである。
ii. 学生の話しあいの質を良くする
教師が前に立って一度にひとりの学生を呼ぶ伝統的な授業では、呼ぶべき学生が実にたくさんいるので、学生は教師の質問に対してよく考えて答える時間を与えられないし、その答えをさらに展開することもできない。その上、学生にはやり取りを主導する機会もない。グループワークを用いる授業では、学生にはよく考えて応答する機会があり、やり取りを展開することも、やり取りを主導することもできる。
iii. 授業の個人化を増進する
グループワークは個人授業ではないが、教師が個々の学生とより多くの時間をついやすことを可能にし、そのため授業の個人化を増進する可能性をもつ。
iv. 積極的な雰囲気を助長する
グループワークは親密さを高め、考える時間と、質問によく考えて応答する時間をふやし、教室の前に出て教師に話すときに学生がしばしば感じるストレスを軽減するので、それは積極的な雰囲気を助長する。
v. 学習者を動機づける
グループワークは学生の学習のプロセスへの参画度を高め、さまざまな課題を与えるので、学生を動機づける。
LongとPorter (1985) はグループワークの使用に対して経験的な支持も与えている。
i. 学生の発話(Production)の正確さ
PicaとDoughty(LongとPorter (1985) からの引用)は伝統的なスタイルの教室におけるディスカッションと小集団のディスカッションとを比較し、文法上の正しさにおいて何の違いもないことを見いだした。だから、教師がモニターしなければ、学生の発話が損なわれるのではないかと心配する教師も、その心配にはおよばない。
ii. 訂正
PicaとDoughty、BrutonとSamuda、およびPorterの研究(すべてLongとPorter (1985) からの引用)は、ほかの学生による訂正の頻度はグループワークにおいての方がより大であり、スーパーバイズされないグループワークにおいても学生が間違った訂正を受けることはほとんどないことを示した。
iii. 交渉
多くの研究者が、学習者はコミュニケーションの理解度を確かめるために、新しいインプットの意味について交渉することができると信じる点で一致している。DoughtyとPica(LongとPorter (1985) からの引用)は、学生たちがグループワークにおいての方が、伝統的な授業のスタイルにおいてよりも、有意味により多くの交渉を生み出すことを見いだした。
グループワークは外国語教育の効果的な手段であることがわかる。しかし、日本の社会で適切な道具なのであろうか。
2.2.グループワークの社会的受容度
アメリカ合衆国教育省(1987, 3)発行の Japanese Education Today によれば:
日本社会は対人関係における調和と他者との協調性に高い価値を置く。日本人は、共通の目標に向かって努力する、よく組織され、緊密に結ばれたグループの一員であることが、自然で、楽しめる人間的な経験であると信じている。
だからグループワークは日本社会の一部なのである。グループワークのこの強調が学校のなかでどんな風に現われているであろうか。ふたたびアメリカ合衆国教育省(1987, 3)によれば:
学校は(グループワークについての)この文化的優先順位を反映する。教室の活動は、グループ活動への参加を奨励または要求し、グループとしてのクラス、および全体としての学校への、個々の学生の責任を強調し、グループへの忠誠心を育てるよう組み立てられている。
特に小学校では、クラスはいくつかの小グループに編成されていて、授業、訓練、および他の活動の基本単位となっている。教師は、個々の能力の違いを公然と認めることを避け、一対一の競合をなるべく少なくすることによって、グループの団結力と強力なグループ精神を育てようとする。日本の教室での日常生活は、かなりの程度の相互扶助を求め、また個人的意見と関心をグループの目標および行動の基準へと順応させることを要求する。グループ活動と社会的合意の重たい強調は行動における相当な体制順応を結果する。体制順応およびグループの決定に従うことを徳性の発揚であると見る強力な伝統が存在する。
……調和と勤勉とへの文化的な強調は、システム内の各人がグループの努力に進んで貢献する者であることを要求する。日本的なスタイルでは、グループのリーダーシップは、メンバーの動機および期待の総合的な調和をはかるので、命令と規律とは、教室のなかでも、より広い社会においても、グループの目標への高度の個人的順応を達成することから自然の成り行きとして生じてくるものにほかならない。
一般的に言って、グループワークは日本の学校システムの一部なのである。しかし、それは全システムの一部なのであろうか。アメリカ合衆国教育省(1987, 27)は、日本の小学校について引き続き次のように述べている:
どの教室でも、学生は「班」と呼ばれる、少人数の、学力別ではないグループに編成される。4人から6人の学生からなるこれらのグループは、協力的な学習と作業のユニットである。教師はしばしばそのクラスに班に分かれて特定の課題に取り組むよう求め、クラスにその結果を報告させる。また「班」はしつけや、雑用や、その他もともろの教室活動の基本単位なのである。
もしグループがそんなにはやっているのなら、ではなぜそれの実行を論ずるのであろうか。この論文の特定の問題領域は、日本における中等および後期中等英語教育である。この段階でのグループワークに関する状況は一体どんなものであろうか。アメリカ合衆国教育省(1987, 34)によれば中学1年から3年までの教授法について:
授業はたいていの科目が教師中心的であり、通例は講義形式で、黒板を使用して、一方的なやり方で行われる……。教室内の義務を履行するために小グループに分かれることは依然として普通に行われているが、小学校が授業の基礎的な単位として「班」を強調したようなことは、ほとんどなくなっている。
高校1年から3年では、「アカデミックな科目の授業は一方的な講義形式からはずれることはめったにない」(同上、43)。
後期中等教育に対しては、アメリカ合衆国教育省はグループワークへの依拠について格別のコメントを加えていない。しかし日本の文部省は後期中等教育に対して細かなカリキュラム上の統制は行なわず、個々の学校が、また個々の教師でさえが、英語の授業がどのように進められるべきかを決めるので、グループワークの使用についての一般化をこのレベルで行なうことはできない。
要約すると、グループワークは日本の学校システムでは小学校教育にとっての基準なのである。中学校、高等学校ではほとんどそれがなされることはない。特に後期中等教育のレベルでは、ティーチング・スタイルが実に多様であるので、それについては何も言及されていない。
グループワークが効果的であることは明らかであり、日本の社会的パターンの一部をなしている。しかしグループワークにはいくつかの問題があり、そのためその最も普通の形式においては多くの教師たちに受け入れがたいものとなっている。
3.グループワークの諸問題
グループワークに関わる主要な問題のいくつかは学生たちに引き続き課題に取り組ませること、準備と説明と活動の遂行に要する時間、および成功の不確かさである。
グループのすべてのメンバーが興味をもつトピックをみつけるのはなかなか難しいことである。また学生たちが課題に興味を示すとしても、彼らは目標を達成するために日本語に逆戻りしてしまうかもしれない。どのようにして教師は学生たちに引き続き課題に取り組ませ、英語を話し続けさせるのか。
活動を整え、グループ分けを行ない、指示を説明するのには時間がかかる。グループワークの結果はしばしば投入された時間や努力を正当化するようには見えないことがある。もっと悪いことに、グループワークの活動は大した成果を収めないことがしばしばである。これらの問題があるため、Long (1977) は、グループづくり、メンバー各自およびグループの課題、教師と学生の変化する役割についてのいくつかの基礎的な疑問に答えようと時間をかけることをしないで、グループワークを全面的に導入することに対して警告する。課題の選択、グループを立ち上げるのに要する時間、進行手順を説明するのに要する時間、課題を説明するために必要とされる時間、そして成功の不確かさという、これらの問題を解決するために、何がなされうるであろうか。
4.問題に対する解決法
上に列挙した問題を軽減するためにジョンズ・ホプキンス大学、カリフォルニア大学リバサイド校、ミネソタ大学、テルアビブ大学および他の研究機関で行われた研究は、「共同学習」と呼ばれるある種の構造化されたグループワークを生み出した(Brandt (1991))。(注1)
(注1)“Cooperative Learning”(以下「共同学習」と訳す)、両語とも大文字で始まるこの用語は、1970年代以降開発された、形式化された諸構造を意味する。それらの事例は、付録として掲げられている。これに対して“Cooperative learning”という形でCだけが大文字で書かれているか、“cooperative learning”という具合に、どちらも頭文字を使わない場合には(以下、「協力的学習」と訳す)、目標に協力して到達するための、ある構造を用いる学習ではあるが、付録に掲げたような形での、形式化された諸構造を用いるものではないということを意味する。
4.1.共同学習の定義
OlsenとKagan (1992, 8) は共同学習を定義して言う:
共同学習は組織化されたグループ学習活動であるので、学習は、グループにおける学習者間の、社会的に構造化された情報の交換に依存する。そのグループにあっては、個々の学習者は、彼または彼女自身の学習に対してつねに責任をもち、他者の学習を増強するよう動機づけられている。
この定義には四つの主要部分がある。1.学習活動は社会的活動である。2.学習はグループにおける学習者間の、構造化された情報の交換に依存する。3.個々の学習者は、彼または彼女の学習に対してつねに責任をもつ。そして4.各人は他者の学習を増強するよう動機づけられている。共同学習のこれらの四つの特質は、それを標準的なグループワークから区別するものである。
4.2.共同学習の歴史
共同学習はまったく新しい現象ではない。OlsenとKagan (1992,) はそれがタルムードにまでさかのぼるものであると述べている。イングランドでは、それは18世紀後半、すなわちJoseph LancasterとAndrew Bellにさかのぼる。米国では、1806年の、ランカスター学校が開かれた時である。その学校は「普通学校(尋常学校)」運動を開始して、学習における協力を実行した。協力的学習は、1875年から1880年まで、マサチューセッツ州クウィンシーのパブリック・スクールの監視官であった、Colonel Francis Parkerと関係がある。1906年にはHerman Schneiderがシンシナティ大学で協力的教育プログラムを創設した(BarbeauとStull(1990))。教育哲学者ジョン・デューイは(SharanとSharan (1992,3) からの引用)、学校における協力について書いた:
(学校での)ほとんど唯一の成功の尺度は、その言葉の悪い意味で、競争的なそれである……。これが徹底して行き渡った雰囲気となっているため、ひとりの子がもうひとりを助けるのは学校犯罪となってしまった。学校の仕事が単なる学業のうちにあるならば、相互扶助は、協力と連携の最も自然な形態であることの代わりに、ある者の隣人をその固有の義務から解放する内密の努力となる。
デューイは協力的学習を彼の計画的教育方法に組み入れた。
1940年代および1950年代にかけて、競争的学習により多くの関心が置かれた。しかし190年代には協力的学習への関心が復活した。1970年代および1980年代には協力的学習活動が、今日共同学習として知られる諸構造へと定式化された。
4.3.共同学習の根拠
共同学習は理論的根拠ならびに経験的根拠によって支持される。
4.3.1.理論的根拠
Vygotsky、彼の「近接的発達領域の理論」に関して。Wittrock、彼の「認知的練成(elaboration)の理論」に関して。およびDeutsch、共同学習の理論的根拠を形づくる、彼の「目標に到達するための諸構造の理論」に関して。
4.3.1.1.Vygotskyの「近接的発達領域の理論」
Vygotsky (1988) は学習と発達との間の諸関係、特に発達のサイクルを研究した。彼は発達のふたつのレベルを理論化した。ひとつは現実的発達のレベルで、「いくつかのすでに完了した発達のサイクルの結果として確立されている、子どもの知的機能の発達のレベル」と定義されている。たとえば伝統的なIQテストで確認されるようなレベルのことである。他は潜在的発達のレベルで、これは子どもの知的機能の発達のレベルであるが、いくつかの未完了の発達のサイクルの結果として確立されているものである。Vygotskyは近接的発達領域を「独立した問題解決によって決定される現実的発達のレベルと、大人の指導のもとでの、あるいはより有能な仲間たちの協力による問題解決を通して決定される潜在的発達のレベルとの間の距離」と呼んだ。Vygotskyは述べている(JohnsonとJohnson (1991) からの引用):「今日子どもたちが一緒でならできることは、明日はひとりでもできる」。あるいはElbowが書いたように(AdamsとHamm (1990, 20) からの引用):「初めはほかの人たちと一緒のときにだけできたことは、ひとりでもするように学ぶことができる」。
4.3.1.2.Wittrockの「認知的練成の理論」
Wittrockは、人は、何かを教え説明するときに、最も効果的に学ぶものだということを理論化した。彼はこれを認知的練成(練り上げ)あるいは認知的再構造化と呼んだ。この理論を確認するため、最近の研究は(Cantlon (1991)のなかでGlasser は)、人々はほかの人たちに教えることの95%を学ぶものだということを示した。
4.3.1.3.Deutschの「目標に到達するための諸構造」
1949年にDeutschは(Slavin (1990) からの引用)、教室における、協力的、競争的、個人的の、三つの異なる目標構造(goal structure=目標に到達するための構造、以下目標構造と訳す)を確認した。協力的目標構造においては、各人の達成はほかの人たちの目標に貢献する。競争的目標構造においては、各人の達成はほかの人たちに否定的な影響をおよぼす。個人的な目標構造においては、各人の達成はほかの人たちに何の影響もおよぼさない。Deutschの仕事は、教室における共同学習についての、多くの実験的な研究に対する根拠として役立った。
4.3.2.経験的根拠
多くの研究が協力的目標構造を用いるクラスについてなされ、競争的、個人的目標構造を用いるクラスとの比較を行なってきた。1981年には、Johnsonおよび他の人たちは協力、競争および個人的目標構造についての122の研究を調べ、数学的統計的分析を用いて、さまざまなタイプの研究から結論を引き出そうと試みた。それらはメタ・アナリシスと総称された。結果は、それぞれの目標構造の相対的有効性を示した。以下はメタ・アナリシスの結果である。
グループ間の競争がない協力がグループ間の競争がある協力と比較されたとき、学習効果には何の違いも見られなかった。ということはグループ間の競争は学習効果において重要な因子ではないことを示している。
協力が競争と比較されたとき、協力の方が競争よりも、65対8の差で効果的であることがわかった。
グループ間競争のある協力が個人間競争と比較されたとき、グループ間競争のある協力の方がより効果的であることがわかった。
協力が個人的努力と比較されたとき、協力の方が、かなりの差で、より効果的であることがわかった(108対6)。
グループ間競争のある協力が個人的努力と比較されたとき、グループ間競争のある協力の方がより効果的であることがわかった(20対1)。
そして最後に競争が個人的努力と比較されたとき、この二つの目標構造の間には何の有意味な相違も見られなかった。
要するに、協力の方が、競争的および個人的目標構造よりも、はるかにより効果的な目標構造であることが、有意味により多くの頻度で見られた。
1990年にJohnsonとJohnsonは、今度は323の研究について、メタ・アナリシスを行なった。そしてふたたび協力の方が、競争的および個人的目標構造よりも、かなりの差でより良い結果(3分の2から4分の3程度良い)を産むことを見いだした。
4.4.共同学習の基本要素
共同学習についての文献は七つの基本要素を確認している。
(1)積極的相互依存
(2)チームづくり
(3)責任
(4)社会的スキル
(5)諸構造
(6)配分されたリーダーシップ
(7)グループの自律
以下の諸項目で各々の基本要素について記述したい。
4.4.1.積極的相互依存
積極的相互依存とは、ひとりの学生の達成は他の学生たちの益にもなるということを意味する(DishonとO’Leary (1984))。これはグループ内の学生に、課題を完成するためにはすべての学生が協力する必要があるような責任を課することによって、あるいはグループに成績を与えることによって達成される(Crawford-Lange (1987))。この特質は学生がチームやグループを援助すべき動機を与える。
4.4.2.チームづくり
研究は、異質な者たちでグループ分けされたチームの方が、同質的に形づくられたチームよりもより多くの利点をもつことを示した(DishonとO’Leary (1984))。年齢、性、人種、国籍、言語能力のようなファクターが、グループづくりに当たって考慮されうるであろう。
4.4.3.責任
各個人は彼あるいは彼女自身の学習に責任があり、またグループに対しても責任がある。これは、成績をつけるときには、個人の成績とグループの成績とを考慮にいれることを意味する(OlsenとKagan (1992))。
4.4.4.社会的スキル
グループワークを用いるたいていの教師は、学生たちが、彼らの母国語で共同作業するのに必要な社会的スキルを獲得しているので、当然、外国語でも同じ社会的スキルを教えるにはおよばないと考える。この想定は致命的である。たとえ学生たちが彼らの第一言語による社会的状況では、どのように共同作業するかを知っているとしても、第二言語では、多くの場合、共同作業するのに必要な言語と行動を明示的に教える必要がある。共同学習はこれを考慮にいれ、社会的スキルを明示的に教えることを強調する。ふたつのタイプの社会的スキルが教えられる。課題達成のスキル(タスク・スキル)は、グループがその任務を完了するまで課題に取り組みつづけることを可能にし、保持のスキル(メンテナンス・スキル)は、グループのメンバーたちがグループとして良く共同作業するのを可能にするものである(DishonとO’Leary (1984))。
4.4.5.諸構造
諸構造は学生の他の学生たちとの、また内容との、相互行為(相互作用)を組織化するひと組の様式のことである(OlsenとKagan (1992))。各々の構造は、教師と学生がなすべきことを、段階を踏んで説明する。これらの諸構造は、一般的で、中身と無関係な手順であるため、どんな科目にも、どの年齢、どの熟達段階でも用いることができる。(いくつかの共同学習の諸構造の事例については、付録を見よ。)
4.4.6.配分されたリーダーシップ
共同学習の実践家によれば、誰もがグループのリーダーとなることができ、すべての人がリーダーとなるチャンスを与えられる(DishonとO’Leary (1984))。
4.4.7.グループの自律
グループは、中身(内容)および社会的問題解決の領域において自己充足的であるべきである(DishonとO’Leary (1984))。教師は学生たちに自分たちの問題を手助けなしに解決させるべきであり、それによって各個人は、説明を行なうグループのメンバーに信頼し、一緒にあいまいな点を解決することを学ぶのである。
5.共同学習の効果
共同学習は、言語学習への、そして学生仲間や教師との関係への、積極的な態度を増大させることが立証されてきた(GundersonとJohnson (1980))。共同学習研究の概説において、Hilke (1990) は種々の研究成果を収集した。彼女が述べるところによれば、Slavin (1986) は共同学習の35の研究を再調査し、そのうちの29(83%)の研究が共同学習クラスの学生たちは、伝統的に教えられるクラスの学生たちよりも、学習上有意味な増進を示すと立証していることを見いだした。学生の誰もが統制されたグループを好まなかった。JohnsonとJohnsonは43の研究を行なって、共同学習に帰せられる有意味な学習上の増進を立証した。世界でどれくらい多くの学校が共同学習を使用しているか正確な数字は明らかではないが、Slavin (1987) は、論文執筆の時点で、5,000校以上が、ジョンズ・ホプキンス大学一校で開発された、ひと組の共同学習の方法を使っていると述べた。Tottenと他の人たち(1991)は数百の教師たちが自分たちのクラスで何らかの形式で共同学習を用いていると推定している。このことはかなり多くの学校が共同学習を使用して成功を収めてきたことを示すものかもしれない。
6.解決法のある諸問題
共同学習が日本の中等教育および後期中等教育での英語(教育)の状況へのすぐれた解決法であるように思われるとしても、それに関連したいくつかの問題がある。もともとそれはアメリカの小学校向けに作られたものである。NewmanとThompson (1987) は、より多くの研究が高校1年から3年までの段階、すなわち後期中等教育のためになされなくてはならないと述べている。
また共同学習はもともと第一言語の状況で、人種的な緊張関係を緩和するために作られたものであることは、Sharan (1980) の論文のタイトル「小集団における共同学習:達成、態度、および民族間の関係への最近の方法と効果」およびSharanと他の人たち (1984) の本の標題「教室における共同学習:人種差熱廃止の学校での研究」によっても明らかであろう。人種的緊張関係は日本の学校での問題ではないので、この領域についての研究は日本の状況には適用されない。
1987年までは、共同学習の諸構造についての研究と開発は第一言語の状況に限定されていた。近年、諸構造は人種的混合の、あるいは国籍混合の、ESL(第二言語としての英語教育)の教室用に作られるようになったことは、McGroarty (1987) の「言語的少数グループのための英語教授法」と題された著作が示す通りである。しかし日本のEFL(外国語としての英語教育)の教室は一般的に人種的混合ではないので、その研究および新たに開発されたESL共同学習の諸構造は、日本の状況には適切でない。ただしかなりの期間外国に住んでいて日本に帰国してきた、いわゆる「帰国子女」のための中等教育のクラス、あるいは大学における国際的なセクションや学部などは例外である。
もうひとつの問題は、もし共同学習が外国語学習の初めの段階で大幅に使用されたら、おそらく固定化が生ずるであろうということである(Richard-Amato (1988))。
最後に、共同学習は、サイレント・ウェイが日本の地域社会によって、教師は学習のプロセスに十分に関与していないと見られかねないように、同じ運命をたどることになるかもしれない。
共同学習は、日本における英語教育を改善するために、大いに有望であるように思われる。だからわずかの問題のためにそれを見捨ててしまうとすれば、悲しいことであろう。これらの問題を軽減するために何がなされうるであろうか。
7.解決法のある諸問題に対する解決法
特に問題とすべきは、共同学習の研究がEFLの状況で遂行されてこなかったし、EFLの諸構造が特に日本の状況のために開発されてこなかったということである。その解決は、中等教育および後期中等教育レベルのEFL教師たちが彼らの学校で共同学習を実行し、その上でその教育の成果を研究し、最後に共同学習のテクニックを単一言語で単一文化のEFLの教室のために開発し、適合させることである。このことは今ほとんどなされていない。Bejarano (1987) はEFLクラスにおける共同学習についての研究を行なった。Sego (1991) は大学レベルで共同学習をいかに用いるかについて助言を与えている。Lie (1992) は、ジグソーと呼ばれる特殊な共同学習のテクニックを使って、それをEFLの読解の授業に関連づけた。Jacobs (1988) はEFLの作文のクラスで共同学習を使う方法を論述した。
日本ではHiroseとKobayasi (1991) が小集団の討論のために共同学習を研究し、適合させた。この種の研究がもっと実施されるならば、共同学習の第三世代(注2)が登場し、外国語教育が改善されるであろう。しかし、日本の社会が共同学習を受け入れるためには、その名称の背後にある原理と実践とを知らねばならない。
(注2)第一言語での使用が第一世代、ESLでの使用が第二世代である。
8.結語
グループワークは偉大な道具であるが、問題をもつ。グループワークの部分集合である共同学習はこれらの問題を克服するが、わずかながらそれ自身の問題をもつ。これらの問題を乗り越えるために、日本のEFL教師は共同学習のテクニックに精通する必要があるであろう。そして新しい共同学習構造の開発に着手し、既存の諸構造の適合を手がける必要があろう。その上でこの研究と開発は全国の教師と学校管理者に広められなくてはならない。また、公衆も共同学習の価値について精通しているのでなくてはならない。多分、共同学習についての研究、開発、情報の普及のための日本センターが、この目標を推進するのに助けとなるであろう。SharanとShachar (1988, 159) は述べている:
教育者にとって残る問題は、無数の子どもたちの学校での学習を改善するために何を変えるべきかということではない。そうではなくて、我々がまるっきり変えようと欲するか否かが問題なのである。〔共同学習の利点については〕我々には多くの証拠がある。我々にはそれに見合うだけの意思が必要なのだ。
もし中等教育および後期中等教育レベルでの英語教育を変えようとする意思が、日本に存在するのであれば、共同学習は全国的な規模で確実に実行されていくべきはずのものである。
付録:共同学習の諸例(Kessler (1992) からの引用)
1.Numbered Heads Together(番号つきで頭を寄せ合う)
ステップ1 (複数チーム内の)学生たちは各自、番号をもつ。
ステップ2 教師は事実に即した質問を行なう。
ステップ3 学生たちは答えを考え出すために頭を寄せ合う。
ステップ4 教師はある番号を呼ぶ。
ステップ5 その番号で、手を上げた最初の学生が、質問に答えることができる。
2.Three Step Interview(三段階のインタビュー)
準備 クラスを4つのチームに分ける。学生はペアになる。
ステップ1 ひとりが相手にインタビューする。
ステップ2 役割を交代する。
ステップ3 各々の学生は、4つのチームで、インタビューで学んだことを分かち合う。
3.Roundtable(ラウンドテーブル、順繰りに書きつける)
ステップ1 どのチームも一枚の紙と、一本のペン/鉛筆/マジックインクを渡される。
ステップ2 ひとりの学生がトピックについて意見を書きつけ、その紙と書くものとを次の人に手渡す。
ステップ3 これが時間が告げられるまで続く。
4.Round Robin(まわるこまどり、順繰りに口伝えする)
(ラウンドテーブルと同じ、ただし書くのでなく、口で伝える。)
5.Think-Pair-Share(考えて、ペアになって、分かち合う)
ステップ1 教師は問題を出す。
ステップ2 学生たちはひとりで解決を考える。
ステップ3 各々の学生はほかの人にインタビューして答えを分かち合う。
6.Solve-Pair-Share(解決して、ペアになって、分かち合う)
ステップ1 教師は問題を出す。
ステップ2 学生たちはひとりで解決を考える。
ステップ3 答えを分かち合うために、「三段階のインタビュー」か「まわるこまどり」を使う。
7.Jigsaw I(ジグソーI)
ステップ1 各々の学生はあるトピックについてのエキスパートである。
ステップ2 学生たちは彼らの情報を分かち合う。
8.Jigsaw II(ジグソーII)
(ジグソーIと同じ。ただしすべてのメンバーが同じ情報をもつ。各人は、その情報によってなされなくてはならない、ある課題についてのエキスパートである。)
9.Team Jigsaw(チーム・ジグソー)
ステップ1 各人は「ホーム・チーム」に属する。
ステップ2 各人はそのチームで番号を割りあてられる。
ステップ3 どの番号の人も「マスタリー・チーム(精通チーム)」(番号毎の集まり)に行って、ある情報、あるいは課題をマスターする。
ステップ4 各々の学生はホーム・チームに帰って、情報を分かち合う。
10.Student Teams Achievement Division(STAD、学生のチームのチーム毎の達成)
ステップ1 教師は導入の講義、講義についてのテスト(事前テスト)、および講義についてのワークシートを与える。
ステップ2 教師はチームの振り分けを行なう。
ステップ3 チーム毎に課題に取り組む。質問があれば、教師に尋ねる代わりに、そのチームのメンバーたちがその質問に答えるように努める。どのチームも、そのトピックについてのテストで、チームの全員が確実に「A」を取ることができるように働く。
ステップ4 チームはトピックを再検討(復習)する。
ステップ5 教師は授業を再検討する。
ステップ6 チームのメンバーはペアで授業を再検討する。
ステップ7 全クラスがひとりひとりテストを受ける(事後テスト)。
ステップ8 チームは上達得点(事前テストから事後テストまでの上達の総計)を用いて評価される。
11.Co-op Co-op(二段重ねの協力)
ステップ1 クラス全体で、学生たちはトピックについて、彼らがすでに知っていること、知りたいと思うことを議論する。
ステップ2 クラスはチームに分かれる。
ステップ3 各チームはチームづくりの練習を行なう。
ステップ4 各チームはステップ1からトピックを選ぶ。
ステップ5 チームはサブチームに分かれて、ステップ4で選ばれたメイン・トピックのミニ・トピックを選択する。
ステップ6 各々の学生はミニ・トピックを研究し、チームに発表する準備をする。
ステップ7 各サブチームはチームに発表する。
ステップ8 チームはクラスへの発表を準備する。
ステップ9 各チームは彼らの発表を行なう。
ステップ10 発表が評価される。
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〈以上はDavid E. Kluge 氏の論文です。金城学院大学論集〔英米文学編〕第34号(通巻第149号、1993年3月)の英語論文から、著者の直接の許可によって拙い訳を試みました。1993年に訳したものですが、このたび字句の訂正などを行ないました。一読すればおわかりになるように、共同学習の方法論は特定の教科の教育に限定されません。この論文が、競争的かつ個人的な学習しか視野にないかのような今日の日本の教育状況を再考する機会になればよいと思います。〉