身支度を整えた俺がカーテンを開けてみると外はもうすっかり暗くなっていた。
見上げると夜空にぼやけた輪郭の金色の月が浮かんでいた。

「月が・・・見える・・・・・・・・」
思わず口にした俺にシャツを羽織っただけの朝人が振り返る。
「・・・・・ああ。この窓よく月が見えるんだ」
そう言うとベッドに座り込む俺を後ろから抱きかかえるようにして隣に座る。

「なんだかあったかい・・・・やさしい月だね」
俺がそう言うと朝人はやさしく微笑んだ。

「月は見る人の心を映すんだよ」
「え?」
俺はマジマジと朝人を見つめる。やさしいけれど淋しさも混じったような朝人の整ったキレイな顔。

「・・・・・・自分の心や感情によって月は冷たく見えたり激しく見えたり
鋭利に尖って見えたりするんだ。同じ月なのにね。」
その言葉は深く俺の胸に染み込んだ。


「じゃあ今は朝人の目には月はどんな風に見えるの?」

俺が聞くと朝人は眩しそうに目を細めて月を見上げた。
俺はその整ったキレイな顔をじっと見つめる。
暫く黙って朝人は月を見つめた。その朝人の薄い唇が開く。

「今日の月はすごくやさしく見えるよ。そうだなまるで俺達の事を見守ってくれてるようで
暖かく包み込んでくれてるみたいだ・・・・・・・・・・・」

俺は朝人のその言葉に満たされた。
きっと今の朝人の心が穏やかだからそんな風に月が見れるんだ。
それは今の俺も同じだ。


窓から見渡す景色は宵の静かな住宅街。
見上げた空にはやさしい月。
その下で。

「静久・・・・・・・・・」
朝人は俺に呼びかけるとそっと俺の頬に手を添えて口付けた。




朝人の為に出来ること。
それをずっと探してた。
ずっと長い間、朝人の気持ちに気づかずにすごしたバカな俺に出来る事。

それは朝人が俺を想う以上に俺が朝人を好きになること。

俺は誰よりも何よりも朝人が好き。
今もそしてこれからも。

朝人以上に俺が朝人を好き。

それが俺が朝人の為に出来ること・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
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