これはもうまったくもって後日談。
小説でいうならばエピローグって奴になると思うんだけど、僕とアリスはそれなりにラブラブな学校生活を送っていた。
あれからの変化と言えば……。
僕は廊下の奥に泉川先輩の姿を発見した。先輩と目が合った。そう思った瞬間、先輩は柱の影に隠れた。
「えっと……」
最近の先輩はいつもこんな感じだった。なんか僕は自分が不吉な物にでもなってしまったんじゃないかと思った。
僕は先輩に近寄った。すると先輩は腕で自分の目を隠した。
「こ、来ないでくれ! 君が目に入ってしまう!」
「あの、僕は何か呪いでもかけそうな人間でしょうか? 目が合うと石化しそうですか?」
すると先輩は腕を下げた。
「いや、すまない。これはその、僕は以前自分で言ったと思うんだが、欲望は目から入るから、
なるべく君を見ないようにと頑張ってみたんだ。それに君も僕なんかにじっと見られたら気分が悪いだろう?」
その言葉に僕は苦笑した。先輩はやっぱり真面目な人だ。
「別に見られて嫌って事はないですよ。それに露骨に避けられたらちょっと傷つきます」
「そ、そうか、すまない」
謝る先輩に僕は言う。
「僕は先輩を友人だと思ってます。尊敬もしてます、だから会ったら普通に挨拶して下さい」
そう言うと先輩は以前のように格好良く美しい笑みを見せてくれた。
「ありがとう、そう言ってくれて嬉しいよ。僕はちょっと考え違いをしてたみたいだね。
物理的に目に入らなければ良いって意味ではなく、目に入っても欲望に負けない人間にならないといけなかったね、
ありがとう、また君に気付かせてもらった」
「いえ」
僕はちょっと照れた。でも先輩とも仲良くやっていけそうだと思った。
僕は先輩と別れると、アリスの部屋に向かった。
部屋に入ると、咲哉と鬼怒川がすでに席についていた。
「丁度、お茶を淹れようと思ってたんだ。今日はフォートナムアンドメイソンのアールグレイだよ」
咲哉が優雅に茶葉を入れながらそう言った。
「それよりさ、八百屋の評判を聞きつけて、今度は商店街の魚屋から依頼があったんだよ。ってあれ、アリスちんは?」
鬼怒川の言葉にますますこの部活は町の便利屋になった気がした。
「アリスは掃除当番、じきに来るよ」
僕が言うと咲哉はポットにお湯をいれながら微笑んだ。
「カヅキに出会って、アリスは本当に変わったね。掃除なんかする子じゃなかったのに」
その言葉に僕は微笑んだ。僕がアリスを良い風に変えられたのなら嬉しい。
「お待たせ、モモ!」
ドアが開いたと思ったら、アリスが元気よく部屋に飛び込んできた。そしていきなり咲哉と鬼怒川に向かって言った。
「君達は邪魔だからどっか行っててくれないかな!」
「え?」
困惑する僕を無視して、アリスは咲哉に言う。
「俺はモモと二人でラブラブのイチャイチャをしたいんだから、たまには気を遣えよ」
その言葉に咲哉は溜息をついた。
「仕方ない、今日は退散するよ。ああ、紅茶は淹れてしまったから、片付けだけよろしく頼むよ」
そう言うと咲哉は鬼怒川の肩を押した。
「え? あ?」
困惑する鬼怒川を連れて、咲哉は部屋を出ていった。するとアリスはすかさず部屋の鍵を閉めた。なにこれ?
「アリス?」
僕が困惑した声を出すと、アリスは振り向いて笑った。それは天使のような悪魔のような、どちらにしろ美しい笑みだった。
「さ、邪魔者は消えたから、エッチしよう!」
そう言うとアリスは僕に抱きついてきた。
「ええ?!」
動揺する僕にアリスは言う。
「やっぱり初めては、見慣れた場所が良いかと思ったんだ」
「いや、そうじゃなくて」
抵抗しようとする僕の手をアリスは掴んだ。
「俺はモモが大好きなんだよ。愛してるんだ。めちゃくちゃモモが欲しい」
その言葉に僕の身体が熱くなった。ストレートにそう口にするアリスが愛しかった。
ああ、なんか仕方ないなっていうか、堪らないなって思った。
「僕もアリスが好きだよ」
僕はそう言ってアリスの頬に触れた。
「モモ」
アリスの頬が少し赤くなった。そして僕達は見つめ合ってキスをした。
キスはどんどん深く、激しくなった。アリスは僕の身体をまさぐっていく。脱がされていく自分の白いシャツに僕はドキドキした。
「モモ、かわいい」
そう言いながらアリスは僕の胸に口付ける。アリスの触れる所が全部溶けてしまいそうだと思った。
僕はアリスに身体を任せながら気付いた。部屋が良い匂いに包まれている。
これはさっき咲哉が淹れていたアールグレイの香りなんだと気付いた。
アリスが立てるちゅくちゅくといういやらしい音。触れられて感じる微かな痛みと、甘い快感。
紅茶の香りに包まれて、大好きなアリスに抱かれていくのを、僕は幸せだなと思った。
僕はアリスも、アリスの部屋で過ごすすべてが大好きだ。
2011.6.3 RIYO
BLというより、ラノベっぽかったかなと思う作品ですが
ここまで読んで下さってありがとうございました。
ちょっとでも楽しんでもらえたらなら嬉しいです。