当社では毎日多くのワイシャツを扱っていますが、
その中に、ごくまれにではありますが、ボタンが付けてある部分に、
「糸と同じ色が滲んでいるような」状態になっているものがあります

これは、ボタンを留めるために使用されている糸が、
「高温でプレスすると色が出る」ようなものである事が原因と考えられます


このようなワイシャツは、「クリーニング店でプレスされる」という事を、
全く想定していないのか、といつも疑問に思います

プレス機といっても、何分もプレスしている訳ではなく、長くても数十秒程度です
それだけの時間プレスしただけで色が出るとなると、
クリーニング店としては対処のしようがありません

ワイシャツを購入する際、デザインだけでなく、
「ボタンを留めている糸」にも注目するようにすると良いでしょう


また、ワイシャツのボタンにも「取れやすいボタン」と「取れにくいボタン」があります

取れやすいものは、
薄い・小さい・平べったいもの
大抵のワイシャツに付いているのは、このような取れやすいボタンです
デザイン性を重視したシャツには特に多く見られます

逆に取れにくいものは、
円柱のような厚みのある形状で、大きいもの
ユニクロの一部のワイシャツや「THE SUIT COMPANY」の一部のものが当たります


また、ワイシャツを脱ぐ際にも、ボタンへの負担を減らすため、
全てのボタンを外してから脱ぐと良いでしょう

ボタンを付けたままワイシャツを脱ぐと、腕が引っかかったりした場合、
留めてある糸に負担がかかります

面倒なので前も袖もボタンを留めたまま、という脱ぎ方は、
脱ぐ際に強く引っ張られる形になり、
ボタンだけでなくワイシャツ自体の寿命を縮める恐れがあります



第三十九回:色付き糸と取れやすいボタン

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

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第三十九回は、ワイシャツの糸とボタンについて