石巻かほく 生活欄 (平成12年11月11日)


亡き妻にささげる遺作展

 今年六月、病気のため六十八歳で亡くなった石巻市鋳銭場7−15、主婦佐々木美枝子さんの「戸塚フランス刺しゅう遺作展」が二十八日から三日間、同市駅前北通りのナリサワカルチャーギャラリーで開かれる。日本ボート協会顧問や県ボート協会会長などを務める夫の康郎さん(75)が亡き妻の供養の意味を込めて企画。美枝子さんが生前、丹精込めて完成させた作品約八十点を展示する。康郎さんは「内助の功があったからこそボート協会の仕事にも携わることができた。多くの方々に見てもらえば妻もきっと喜ぶでしょう」と話している。
 康郎さんは東京物理学校(現東京理科大学)卒業後、教職に就き、昭和六十一年石巻工高を最後に退職。全国高体連漕艇専門部長、日本漕艇協会理事、世界選手権・同ジュニア選手権日本選手団団長などを歴任した。
 現職中はイギリスやオーストリアへの海外遠征をはじめ、日本各地を飛び回る忙しい日々だった。「家のことは妻に任せきりだったのが実情。ようやく落ち着いたのは退職して二、三年経過してから」と振り返る。
 美枝子さんもそのころ平成二年から石巻市千石町にある河北カルチャーセンターの「戸塚フランス刺しゅう」を受講。フランス刺しゅうを習いだした。
 豊かな色彩と立体感あふれるスケッチで知られるフランス刺しゅうに直ちに魅了されたようで「元気なころは週一回の受講を毎日楽しみにしていて、針を休める日もなかった」(康郎さん)という。
 カルチャーセンター講師の末永政子さんの丁寧な指導も手伝って、腕前もメキメキと上達。壁掛けやテーブルクロス、テーブルセンターなどいずれも見事な作品ばかりに仕上がった。今回の遺作展では、入院する半年前に始めたというパッチワークの作品二十点も一緒に展示する予定という。
 加えて、今回の趣旨に賛同した河北カルチャーセンターと末永さんも協力を約束。末永さんや受講生の作品なども一緒に展示し、遺作展に彩りを添えることにしている。
 康郎さんは「末永先生の指導もあって、良い作品が残ったと思う。多くの方々に見てもらい、フランス刺しゅうの素晴らしさなども知ってもらえれば…」と語っている。


※ 略歴は記事のとおり。
  現在、日本ボート協会顧問、東北ボート連盟会長、宮城県ボート協会会長





              
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