【the world and words】

■世界■
 基本的には現代世界。ただし、魔術が存在したり色々な秘密組織があったりと微妙な差異がある。

▼酉野市
 日本の地方都市。山と海に囲まれた風光明媚な土地柄で、古くから長閑な避暑地として親しまれていた。20年前から再開発が進み、田舎にしては比較的賑やかな街となっている。無駄に大きなビルや街外れの大型商業施設が無いのが特徴。

 時空の裂け目の真上に位置しており、思い出したころに怪異が発生する土地柄でもある。

▼酉野市に存在する食い物屋のリスト
※商店街〜駅前
■甘味処"やなぎや"
 和洋取り揃えた甘味処で喫茶店としても人気。
 20分以内に完食すれば無料のギガントパフェとバケツプリンが名物。

■角の茶屋"井筒堂"
 抹茶ソフト220円が名物。他にダンゴとか色々。

■USサイズ
 ビックサイズなアメリカン・ハンバーガーと鉄板焼きの店。その名のとおり大味な料理ばかりだが、古き良きアメリカを再現した雰囲気が好評で客層は広い。

■博多ラーメン"半ドン"
 ラーメン500円、チャーシュー200円、その他トッピング80円。替玉は120円で5玉目にはチャーシューを2枚つけてくれる。

■オーソン
 何の変哲も無い大手コンビニのフランチャイズチェーン店。忙しい朝は重宝する。元酒屋。

■宝飯鴻楼(ほいこうろう)
 中華料理屋。お持ち帰り可能な点心が人気。

■たこやき"ジジ"
 たこ焼き専門店。オーソドックスなたこ焼きからチーズ焼き、キムチ焼き、チョコレート焼きなどといったメニューがある。また、タコの皿盛りも食べられる。

■おむに舎
 オムレツ・オムライス専門店。店名はあくまで響き優先で、ロボコップとは関係ない。だが店員がたまに警官や忍者の格好をしていることがあり、油断は禁物だ。

■とんかつ"麦"
 麦飯とキャベツはおかわり自由のとんかつ専門店。ここのブタは産地指定で麦を使った飼料を与えられているとか。

■プロマージュ
 その名のとおりチーズ専門店。置物代わりの5年ものパルメジャーノがマスコット。

※繁華街
■焼き鳥"フェニックス"
 色々なモノに襲われる親仁が名物。

■ダイニングバー"メッセージ"
 お洒落なバーだが通称は不本意ながらダイイングメッセージ。各種カクテルとピアノ生演奏が楽しめる。

■スパシーバ
 外国人キャバクラ。

■三国一
 箸が立つほどの特濃スープが特徴のラーメン店。駅前に2号店あり。

■串かつ"百舌鳥"
 普通の串かつ屋。基本的にはビールを飲む店である。

※オフィス街
■吉祥
 独自開発した添加物ゼロのラーメンをウリにしており、コクがありながらアッサリとした大人の味わいは、どの時間に食べても胃にもたれない。
 20分以内に食べきれば無料になるという"ド根性ラーメン"も。

※住宅地〜三城大学付近
■イタリア料理レストラン"貴婦人亭"
 本格的ながらリーズナブルなコースが人気の店。
 オーナーは"Mr.クリスマス"、"カルレット"ことジャンカルロ・ナターレ。

■ベンガル虎
 インド人のカレー店。他とは一線を画する本格インドカレーが大人気。1300グラムの"三千大千カレー"を30分以内に食べ終えるとタダ。

■餃子"飛車角"
 ギョーザとライスと味噌汁しかメニューが無いギョーザ専門店。専門店というだけあってギョーザの種類は多岐にわたり並一皿20個300円、定食は500円という安さが魅力で学生に人気。

■洋食"セカンドハウス"
 定食800円からと少々高いが、ライスおかわりし放題の洋食店。ビーフシチュー定食が一番人気。

■ふきのとう
 ラーメンとチャーシューメンしかメニューが無いラーメン屋。ただし持ち込み自由。メシ時には弁当やライスを持った体育会系、夜にはサークル帰りの文化系で賑わう。

■大学学生食堂
 ジャンボ唐揚げ定食が凄い。


■用語・設定■

■藤宮の家系
 狐の化生といわれた"藤宮式子"の血を引く一族。強力な異能の力を持ち、代々その血とともに特殊能力を受け継いできた。血統維持と能力増強のために近親婚や他の異能の一族を迎えるなど、始祖の式子が伝えたとされる計画的な交配を繰り返して現在に至る。その本家本筋の最終モデルが藤宮三姉妹であり、また計画のために作られた分家がいくつか存在する。

▼化神〔アバターラ〕
 神の器、あるいは神がこの世界に存在する為の姿。その在り様は個体によって様々。平常の姿である"常相"、フルパッケージ状態の"周全相"という、二つの姿を持つ。
 異能者の多くは彼らの子孫である。
○ディヴァインパワー
 神通力。
 四次元より高次な存在をパワーソースとする特殊能力で、技術ではなく身体能力として備わっているもの。
 精神世界のエネルギーを用いる点では魔術と同一だが、出力システムがまるで異なるために効率も威力も完全に上をいっている。
 そのレベルはそこいらの異能者・超能力者をはるかに超えるが、長い年月をかけ適者生存の修羅場を潜り抜けてきた異能の家系とは違い、必ずしも役に立つ能力を持っているとは限らない。「凄いことは凄いけど、だから何?」的な存在も少なくなく、ご愛嬌といったところだろう。

 通常は、ほかの超能力とひっくるめてスーパーパワーと呼ばれることが多い。


■学校
▼三城大学
 20年前に設立された私立大学。街から少し外れた三城の丘一帯に広大なキャンパスを持つ。
 有能な人材を育成するべく、教授陣や学生を幅広く募っているのが特徴。人にも設備にも投資を惜しまない。
 この学校設立を契機に、酉野市中心部の再開発が始まり貴洛院グループの影響が強くなった。


▼英春学院
 三城大学附属の中高一貫校。広く有能な生徒を求めた結果、県外から入学・編入した生徒が非常に多い。また、偏差値も高め。そのあたり地元の公立校である酉野高校とは対照的で、なにかと摩擦があるようだ。
 場所は三城大学から歩いて10分ほど。


▼晴間学院(はるまがくいん)
 街外れに広がる在比高原に抱かれたミッション系の全寮制女学校。途中編入一切無し、小学から高校までの一貫教育による純粋培養を目的としたお嬢様学校である。
 基本的には高卒まででワンセットだが、希望者は短大と4年制大学へ進学可能。学部は音楽、神学、家政学、英文学、仏文学。


■組織
▼フェデレーション
 アメリカ合衆国の特務機関。人類の平和と安定の為に、熱い使命感とともに先進技術の研究開発と実験と実践を行う。蛍太郎曰く『悪の秘密結社』。
 各国政府、軍、学術機関にパイプを持ち、またスーパーヒーローチーム"マイティーズ"の支援を行なっている。独自に複数の戦闘集団を所持し、諜報部隊は"アイギス"、オカルト方面部隊は"アコライツ"と呼称される。

 日本支部は内務省と提携して色々とやっている。


▼ディオゲネスクラブ
 19世紀ロンドン発祥の由緒正しい秘密クラブ。最高の頭脳集団が、己の頭脳を楽しく無駄使いする為の互助組織である。
 おおむね、いかに横着してグウタラな生活を、文化的・経済的に豊かに行うかの追求に持てる能力の殆どを費やしている連中の集まり。
 学者、引退した財界人、放蕩魔術師などいかにも偏屈な人材がそろっている。


▼貴洛院グループ
 日本有数の企業グループ。
 貴洛院家の出自は酉野市であったため、近年は地元にも投資を行うようになり大きな影響力を獲得している。


▼メガロテック
 巨大多国籍企業。
 代表はアレクセイ・イグムノフ。欧州の小国アルマニアの王族に連なる人間で、石油を掘り当て政商となる。手持ちのオーバーテクノロジー遺構と魔術を利用してメガロテック社に接近、ついには代表に納まる。色々と無茶な手段で拡大路線を図るが、外交特権で政府関係者は手が出せない。
 メガロテック社と貴洛院グループのブラックオペレーション部門、そして魔術結社シャイターン(後述)の連合体であるトリスケリオンが、フェデレーションにとって当面の抗争相手である。


▼銀河連邦警備隊
 恒星間航行により高度な文明・文化を作り上げ銀河系に大きく版図を広げた星間連合国家”銀河連邦”が誇る警察組織。さまざまな星域から選りすぐったエキスパートたちを揃え、銀河の平和を守るために日夜戦い続けている。
 紋章は金と白と重ね十字。制服は種族により多種多様だが、白地に金のラインというカラーリングで統一されている。

 現在の地球とは未だ正式なコンタクトは無いが、1990年代における宇宙海賊ギャラクシーテラーの地球侵攻時に一部のヒーローと接触があったらしい。


■魔術
▼魔術(魔術式)

 意思の力を物理的な力に変換するテクノロジー。身も蓋も無い言い方をすると、思いこみを現実にする力である。それを操る者を、魔術師と呼ぶ。
 アストラル界(=物質世界と重なり合って存在する精神世界)の構成要素であるエウェストルムを魔術師の精神を通して物質世界に導きいれ、それを意思の力で操作して量子レベルの極小世界に干渉させる。その結果として、術者の意図した物理現象が発現することになる。意図した結果を安定して得るためのメソッドを記述したものを術式または魔術式といい、呪文や象形文字の形で記される。これは後述の各派閥により若干異なる他、個人のオリジナル術式も数多く存在する。この術式を思考として展開することで魔術として発動する。
 この技術を以って、魔術師たちは歴史の裏側で脈々と生き続けてきた。表舞台を避けたのは魔術を伝えた"星界よりの魔王"の意向であるとされ、この技術が外宇宙に由来するものであるがゆえであるという(本来は"魔王"=アヴァターラのパワーをテクノロジーで以って再現したものであった。当然、できることはオリジナルに劣る)。


▼イデアクリスタル
 魔術師たちは長い歴史の中で様々なアーティファクトを開発し、自らのサポートにあてるようになる。その代表格がイデアクリスタルだ。
 イデアクリスタルは魔術の発動体とも呼ばれ、任意の術式を予め書きこんで記憶することが出来る。これにより術式発動の高速化と負担軽減が実現し、覚えきれないほど複雑な術式の記録に活用されている。
 クリスタルは基本的にはオリジナルのコピーであり、また製造元により色が異なる。バビロン製が赤、ロンドン製は青、アフリカ製が緑となる。

▼象徴機械〔アイコン〕
 イデアクリスタルによる恩恵の最たるもの。
 術式によって組み上げた偶像を実体化させ、その活躍想像図を運用のための術式とする。無機質なプログラムでしかない術式がキャラクター化という手順を踏むことでよりイメージが強烈になり、より効果的な運用が可能となる。いわば、魔術のアクセラレーターである。
 形態は魔術師個人によりそれぞれで、当人の趣味に合わせたものになっている。また、アディッショナルシェルと呼ばれる後付の外装を追加することでパワーアップを図る者もいる。シェルのサイズや形態、素材もまた各自それぞれである。
 化身支援システムであるパワーシェルのアーキテクチャを原型としており、その地球版発展形といえる。

■魔術師協会
 魔術師による、魔術師のための互助組織。主な任務は各魔術師協会の交流推進。困った子ちゃんの駆除。特殊遺物の管理。アヴァターラの庇護などなど。
 各地管轄の協会は以下の通り。

▼魔術師協会:Sorcerer Association=SA
 欧州管轄(トルコとイスラエル、カザフスタンは含まない)。本部はロンドン塔付近につながる異空間。三賢人と呼ばれる長老が統括している。
 その所在地と、いつも戦う道具ばかり作っているところから"工廠=アーセナル"と呼ばれている。彼ら自身が名乗っている通称は"アカデミー"だが、若手の中では前述の呼び名を好む者も多い。
 系統だった魔術師の互助組織としては一番古いので、本家ぶって頭に何もつけないのがジョンブルの意地。
 
▼バビロン魔術師協会:Babylon Sorcerer Association=BSA
 本部はバビロン空中庭園。異界との狭間に存在しているため衛星でもレーダーでも捉えられない。三巨頭と呼ばれる存在により運営されており、大魔術師ヘカテはその一角。
 魔術の起源は中東とされているが、色々あって組織化は欧州の後塵を拝した。行きがかり上、アジア地域やオセアニアの面倒も見なければいけなくなってしまったという管轄範囲の広さが売りでありボトムネックでもある。SAとの交流が盛ん。

▼錬金術師協会:Foundation of Alchemist=FA
 本部はプラハの百塔。これまた異空間。
 材料工学において各魔術師協会とは切っても切れない関係である。

▼アフリカ魔術師協会:Africa Sorcerer Association=ASA
 20年ほど前に出来た新興組織。いまだ魔術が一般生活に混在する土地ゆえに管轄内の魔術系統は多岐にわたり、足並みをそろえるのが難しい。

▼中南米魔術師協会:Latin American Sorcerer Federation=LSF
 中央アメリカとカリブ諸島、南アメリカ大陸担当。インカとかアステカとか、もうワケ判らない混沌とした集団。ナチス残党狩りで欧州から派遣された魔術師は、どこに誰がいるのか全然わからずに常に苦労させられてきたという。
 1年前にインカの王を名乗る魔術師が現れ、それ以来アステカ系ルチャ魔術師軍団との抗争が続いている。

▼国際魔術師連盟:Federation Internationale de Sorcier Association=FISA
 上記五つの魔術師協会の連合体にして、総本山。本部はスイスのリューリッヒ。
 ちなみに北米地域とオセアニアは特務機関フェデレーションが魔術部門を立てて独自に同様の業務を行っており、それが気に食わない者は他の地域に流出しているという状況である。

▼中華陰陽連合
 東アジアの道教系の連合。FISA所属の魔術師たちとは一線を画するがやってることはあまり変わらない。

▼シャイターン
 邪神を崇拝する謎の魔術師集団。邪神の神託により行動するが、その神様の気まぐれに振り回され折角の技術力を生かせないのがネック。だが信仰の見返りが篤いので、邪神と別れることもできないでいる。


※魔術設定について、さらに加筆というか、説明を重ねてみる。
 人間(と脳髄や神経節を持つ生物全般)が現実として認識している世界は、感覚器官で得た情報を脳内で再構成したものであり、本当の意味の現実世界=物質世界を認識できている人間は一人も居ない。
 そのため、見なくてよいモノや見たくないモノは認識していない可能性がある。神経系が未熟で整理されていない人間や、唯識の域に到達した者、あるいは神経系統が存在しないバクテリアなどは物質世界を完全に認識できるものと思われる。

○現実=人間の脳内世界なら、実際には存在しないモノの存在を多数の人間が信じれば、共同幻想の産物が実在するものとなる可能性がある。原始宗教における神がそう。

○人の意識と物質は、量子レベルでは等価。

○ディラックの海ちっくなお話。
 真空は何も無いのではなく、物質と反物質がキッチリつりあった状態であるということらしい。

○つまり、色即是空で空即是色。


■魔術(Sorcerlogy)設定・加筆版
 世界は二層式になっている。
 ひとつは物質世界。もうひとつは、それと重なるように存在しているアストラル界だ。
 そこは精霊たちが住む精神世界というべき場所であり、意識体が幅を利かせる世界である。精神のありようで存在の軽重が決定され、自我の強いものが全てを支配するところだ。

 物質世界のうち、我々が住む宇宙ではヒッグス粒子が質量を伝え物質を存在させているが、アストラル界ではエウェストルムという本質が全てを形作っている。このエウェストルムは精神・思考を伝達し質量・運動エネルギーを発生させるものである。
 物質世界でもエウェストルムは存在しているが、通常は反エウェストルムというべきものとつりあった状態で、特に何もなす事は無い(その逆も同様)。

 ところが。
 実は、物質世界の真の姿を認識しているモノはいない。
 人間が現実として認識している世界は、感覚器官の情報を元に脳内で再構成したものであり、現実に存在しているはずの物質世界その物ではないのだ。脳内世界を形成するに当たり、データには当然見落としもあるだろうし、見たくないモノや知らなくていいモノは認識されていない可能性がある。そういう意味では、物質世界もまた、精神活動のありようで決定付けられる世界といえる。
 また、多数の人間の精神が形作ると謂われる"集団無意識の海=アカシャ"はアストラル界に繋がっており、つまり人の意識こそがアストラル界への入り口である(儀式により作られた"門"もあるが、それは後述)。
 つまり、人の精神活動、意識こそが二つの世界をつなぐ架け橋なのである。


○魔術の基礎。
 以上の点を踏まえ、精神の力を物理的な力に変換する技術が星の彼方で生み出された。
 それが、魔術である。

 要は、精神力で持って物質世界の法則を弄ろうという話だ。

 物質世界はエウェストゥルムがゼロの状態でつりあっているが、そこにエウェストゥルムを発するものを持ち込めば、それは精神を媒介・伝達し一時的にアストラル界と同様な状態を作り出す。
 人の精神はアストラル界と繋がっているので、そこから、つまり魔術を用いる者の心からエウェストゥルムを発生させるのだ。
 エウェストゥルムが生み出す質量・運動エネルギーを自在に操るには、その精神を媒介にするという性質を利用する。つまり、エネルギーを生み出す為のシステムをイメージし、エウェストゥルムの存在する空間に投影すれば(投影する、というイメージを持てば)、燃料をエンジンに入れて運動エネルギーを引き出すように、エウェストゥルムを力として使える。そのシステムが魔術と呼ばれるものである。システムといっても、全てイメージなので呪文や結印などで意識上に描く無形の式、紋様、陣などなどといったものである。要は、「こういう風なイメージを持てば、こうなる」という思い込みが魔術のシステムの基盤なので、思い込みを確立する為の手段は何でもいいわけである。
 このシステムを、術式=スクリプトという。

 だが、そもそもエウェストゥルムを媒介するとはいえ、人の意識と物質、運動が釣り合うのかと疑問に思われる向きもあるだろう。
 量子レベルの極小世界では、物質を構成するのも運動の力を伝達するのも素粒子である。そして、人の意識も脳内の電気活動であるので、素粒子によってなされている。
 もっとも、最近では意識は脳内で行なわれる何らかの量子的活動であり、電気活動はその結果の出力に過ぎないという説もある。つまり、その量子的活動こそが意識の正体ということになる。
 このように量子脳理論まで飛躍しなくとも、意識と物質は共に素粒子の運動によって存在しているわけだから、完全に等価ということになる。


 術式を編むのは意識だが、意識をCPUとすればメモリに当たるのが脳である。術式の記憶、展開には脳による演算が不可欠だが、人間が意識的に使っている計算能力では物理現象を完全シミュレートすることは出来ない。そこで、脳の未使用領域の出番である。それを介して精神の無意識領域から"アカシャ"に接続し、不足分を補うのだ。
 さらに、あまりに大きな処理の場合は、さらにアカシャを外部記憶装置的に借用して演算が行なわれる。つまり、術者以外の人間も無意識のうちに術式の成立を助けているのだ。
 逆に言えば、阿頼耶識を得ている者は魔術の行使を妨害できる。
 だが、普通の人間はアカシャを知覚することは出来ないし、そもそも目の前にある物質世界もマトモに見てはいない。つまり、誰も見ていないうちに、やったもの勝ち的に術式の成果をねじ込んでいるのだ。

 さて、ここで問題になるのはエウェストゥルムの発生源だが、物質界とアストラル界の両方に同時に存在しているもの、二つの世界に跨って存在しているものは、程度の差こそあれ常にエウェストゥルムの発生源足りうる。
 もちろん、人間をはじめあらゆる生物の魂=精神は二つの世界の境界線である。
 そして、人の精神により変質を遂げた聖遺物や呪いのアイテム。聖遺物を模してしかるべき素材と製法で作られた聖別儀礼済みの物体。そして、魔術によって生み出されたモノ、である。

 ある程度以上のエウェストゥルムを発生させられる人間が、それを活用する為の術式を後付で装備させた者が魔術師である。
 生まれつき、もしくは異種間交配意図的に得た術式を血統管理で遺伝情報として体内に記録した者を異能者と呼び、時にその記録を血脈と呼ぶ。
 記録方式こそ異なるが、魔術師と異能者は同根なのである。
 もちろん、人間は鍛錬次第でエウェストゥルム発生量=魔力量はUPするので、成長したりもできる。


■超能力者
 いわゆる超能力は、人間の脳の未使用部位を使用した物といわれており、物理的な力を用いた場合には円形に作用するなどの特徴がある。しかし人間の脳の容量には限界があるため、大体はスプーン曲げや発火能力など単純な性能のものや規模の小さいテレパスに限られる。そして、おおむね単一能力で融通が利きにくい。
 この動力源も、もちろんエウェストゥルムである。このような超能力者に異種間交配で化生の者の身体を形成する術式を取り込み、また血統管理で体内の術式の強化・維持を行ったものが異能者である。よって、古い血脈を持つ異能者から見れば、このような超能力者は「生意気なポッと出」といったところである。

■異能者
 超越能力(META ability)を操る人々。
 超能力者、もしくは異種間交配で生まれた子、または後付で魔術の術式を刻み込まれたものに、さらなる異種間もしくは超能力者同士の交配、加工・改造などで体内の術式の維持・強化を行った者。
 当然、普通の超能力者とは比べものものにならない程の力を持ち、さらにひとりで複数の能力を持つ者もある。
 以下、箇条書きで特徴を。
○あらかじめ体内に刻まれた術式を起動するので、身一つでOK。精神集中さえ完了すれば瞬時に起動可能で用意も必要ない。反面、あらかじめ刻まれた術式以外は使用できない。
○交配か、加工・改造以外で新しい術式を獲得することは無いが、魔力量があがれば、元からある術式をより上手に使えることができる。これが異能者の成長である。
 もちろん、記録はされていたが使ってなかった術式を使えるようになれば、成長したように見える。異能者の魔力量に応じて順次新たな術式が使用可能になるように仕込まれている場合もあるので、それはそれで成長といえる。
 いずれにせよ、全てはあらかじめ持って生まれた形質であり、個体進化などはありえない。
○異種交配や血脈という特殊な形質の結果、普通の人間との交配が困難な場合がある。また、可能であっても混ぜ物をいれることで血脈が途絶えてしまうことも多い。だが、絶えたと思いきや数代のちに突然発現する事もある。
 ケース・バイ・ケースで色々である。
○おおむね、身体のどこかが通常の人間と異なっていることが多い。もしくは、能力の発現時にその形質が現れる。

モドル
INDEX