そして休むことなく急いで、アルオウディア・プロケラの苗木をかき集めて井戸のあるあの場所へもどった。ぼっちゃんはあいかわらず、バオバブの苗木に水をやっていたんだ。
「お帰り!」
「これがアルオウディアの苗木だよ。さっそく植えよう!」
ってケープペンギン君とぼっちゃんは、バオバブのあいだにアルオウディア・プロケラを植えたんだ。
ぼっちゃんは若木に水をやり、ケープペンギン君はぼっちゃんを手伝った。そうして1年がすぎた。バオバブもアルオウディアもヒョロヒョロと、けれど着実にりっぱに育ったんだ。
あるときぼっちゃんが、
「ぼく、今日、うちへ帰るよ…ここにやってきて今夜でちょうど一年になるからね!ぼくの星には世話をしなくちゃならない花があるから…」
っていった。
「うん、わかっているよ。あとはぼくに任せて!…30年後にまたここで会おうよ。30年もたてばここはりっぱなりっぱな森になっているはずだよ。約束しようよ」
「30年後だね。うん、わかった、約束するよ…またこの場所で!!」
「絶対…絶対!約束だよ!!」
「さあ…もう、なんにもいうことはない…」
ぼっちゃんの足首のそばには、黄色い光が、キラッと光り、そしてぼっちゃんは一本の木が倒れでもするように、しずかに砂に倒れたんだって。
おいらはデリーペンギン。南極に住んでいる。30年後かあ!おいらもぼっちゃんに会いたいな。 |
参考;サン=テグジュペリ作、内藤潅訳『星の王子さま』岩波少年文庫