それになぜか?その日を境に人間たちは空港を作るのやめちゃったのよ。きっと人間たちもあいつの歌というか騒音を不気味がってあの場所から手を引いたんじゃないのかしら?あいつの奇妙で不可解な歌声を勝手に“自然の怒りをかった”とかなんとか思い込んじゃって、全くあなたたち人間って妙なところで信心深いんだからさ!けれど、人間たちが空港を作るのをやめたあとも、あの場所をほったらかしにするからあいかわらず雨が降るとサンゴの海に赤土が流れ込んできたの。だからあたしたちペンギンはそれを食い止めようと、陸地にため池を作ってそこに赤土がたまるようにしたのよ。そうしたらいくら雨が降っても赤土がもう海に流れてくることはなくなったわ。枯れていたアマモが復活したのよ。ジュゴンちゃんもウミガメも喜んでくれたわ!でもね、ペンギンみんなでため池を作っているときに、王様と酔っ払いのヒゲペンギンさんが、 「人間たちがここに空港を作るのをやめたのは、アデリーの歌のせいっていううわさはホントか?」 「王様!そうらしいです。アデリー君の歌が“凶器”になるなんて…」 ってはなしているところに、あいつがやってきて、 「おじさん、今何かいった?おいらの歌がキョーキとかなんとか?」 ってきいたんですって。
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