「逃げる、だなんて…失礼なんじゃないの?」

「そんなこといって…あとでどんなことになっても知らないからな!ホイ・ホイ♭」

「えっ?どんなことって?」

「ザトウ君にウミガメ君!なにをコソコソはなししているのさ。ザトウ君がうたわないのなら、おいらがうたっちゃうよ!」

「あ〜あ!まずはオレがうたうから…これからうたう歌はフェイドアウトしていく曲なんだ。だから曲の終わりには、オレはうたいながらこの場から遠ざかるけれど、完全にオレの歌がきこえなくなるまで終わりじゃないからね、それまでペンギン君!キミは絶対にうたいはじめてはいけないよ!いいね!!ラ〜リラ♪」

「うん、わかった。ちゃんとザトウ君がうたい終わるのを待つよ」

 ザトウクジラがうたいはじめたの。するとどこからともなくジュゴンちゃんがあらわれたんですって。ジュゴンちゃんはザトウクジラの歌に合わせてハミングしながらなんとも優雅におどりだしたんですってよ!あいつとウミガメはそれをうっとりながめたんですって。あたしも見たかったなあ。ザトウクジラの歌が終わりに近づくにつれて、クジラはフェイドアウトしていくようにその場から遠ざかっていったの。さあ!いよいよアデリーがうたう番。あいつは待ってましたとばかりに、まわりに気を使わずにうたいだしたんですって!ホントに歌なのか?騒音なのか?わからないあいつの怪奇音のせいでジュゴンちゃんはすぐに気絶しちゃうし、ウミガメは産卵でもないのに涙を流したってはなしよ!

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