『お花畑を作ったペンギン』
おいらはアデリーペンギン。南極に住んでいる。
いつものようにおいらはアホウドリ君からもらった翼でスイスイ飛んでたんだ。すると、オオトウゾクカモメさんが近よってきた。オオトウゾクカモメさんはいつもうるさいのに、今日はとっても静か。ふしぎに思ってよく見ると、くちばしに何かからまってる!
「オオトウゾクカモメさん!どうしたの?」
っておいらはきいたんだけれど、ゴモゴモいってるだけ…。くちばしにからまったものがじゃまして口が開けないんだ!それにとっても苦しそう!!
「オオトウゾクカモメさん!くちばしにからまったものをとってほしいんだね?」
オオトウゾクカモメさんは飛びながら、首をコックリしてうなずいた。おいらはお医者さんのシュレーターペンギン先生のところに連れていった。シュレーターペンギン先生はくちばしにからまったものをすぐにとってくれたんだ。オオトウゾクカモメさんは大きく息を吸い込んでいったんだ。
「あ〜あ、死ぬところだった!ありがとう、助けてくれて!!」
「いつもほかのカモメがとったエサを横取りしてるからそんな目にあうんだよ!」
「そんなの関係ないやい!」
「いいや!ばちがあたったんだ!」
シュレーターペンギン先生がむずかいしい顔をして
「アデリー君!そうでもないぞ!近ごろ、この手のことが多くてな。子供のペンギンの足にゴミがからまったり、そういえば昨日も、ヒゲペンギン君が食べ物と思ってのみこんだものが実はゴミで、それをはかせるのに苦労したんだよ」
っていったんだよ。
「えっ!おじさんが!」
「それみろ!オレが悪いワケじゃないんだ!ゴミをあっちでもこっちでも捨てる人間が悪いんだ!」
「オオトウゾクカモメさんがそういうんだから、人間ってよっぽど悪いんだね!」
「あのなあーアデリー君!それ、どういう意味?オレのことごかいしてるぞ!」
そんなことがあってから数日後…。
フンボルトさんが手紙を持ってやってきた。
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「あんたにもぜひ来てもらいたいんだけど…」
「それはいいけれど、どうしてフンボルトさんがガラパゴス博士の手伝いをしてるの?」
「博士はあたしの大先生なの。オゾンの機械を作ったときもガラパゴス博士に指導してもらったのよ」
「なるほど」
「ちゃんと発表会には来てね!」
「わかった!」
「それからあたしのマカロニさん…どこにいるか知らない?」
発表会の日、王様をはじめ、みんながイザベラ島に集まったんだ。新しい機械には白い布がかけてあった。ガラパゴス博士がゾウガメに乗って会場にあらわれた。
「みなさん!今日は新しい機械の発表会のためにイザベラ島へようこそ!わたしはついにすばらしいものを発明してしまった。これからみなさんはこの機械を目の当たりにするわけだが、みなさんのおどろく顔が目に浮かぶようだ…わたしの名もついに歴史に残るかと思うと…」
「もう!前置きはいいからはやく見せてよ!」
ヤジが入った。
「…それでは、ご期待におこたえして除幕式といきますかな」
と、ガラパゴス博士はいって、白い布をとったんだ。見てくれはあんまりいいとはいえない機械が姿を見せた。
「この機械の説明をいたしましょう。まず、こっちの口からゴミを入れると、それをエネルギーにかえます。そしてこちらのボタンを押すと、ここからビームが出てきます。ビームを草花に当てると、草花が寒さにひじょうに強くなります。それから、こっちのとびらを開けるとこやしができています。つまり、ゴミのエネルギーによって草花が寒さに強くなって、おまけにこやしまで作ってしまう一石二鳥にも三鳥にもなる画期的な機械なのです」
「博士!草花が寒さに強くなるっていうけど、どのくらい強くなるの?」
「理論的にはアデリー君、キミが住んでいる南極の寒さにもたえられるよ」
「ホント!南極にお花畑が作れるの!」
「まあ、そうだね」
「ゴミなら、何でもいいのかい?」
「え〜っと、この口に入るおおきさならば、ね!」
「へ〜、それはすごい!これでゴミ問題も解決だ!博士!久々のヒットだな!」
「王様、久々のヒットだなんてひどい!このまえ発明した台風を大きくする機械もすばらしいと思うんだが…」
ペンギンみんなで、ゴミをイザベラ島に集めることにしたんだ。ゴミを集めるのなんてわけなかった。そこらじゅうに転がってるからね。一時、イザベラ島にはゴミの山ができたんだ。新しい機械にゴミをどんどん入れて、イザベラ島やフンボルトさんが住んでいるプニフル島の草花にビームを当てたんだ。寒さに強くなった草花を南極に植えかえたんだ。一面銀世界の南極にお花畑ができあがったんだよ!
おいらはアデリーペンギン。お花畑がある南極に住んでいる。ゴミがいつの間にかなくなっていたら、それはおいらたちペンギンがひそかに持っていったんだよ!