早春にて・その2
「やめてくれ!とにかくぼくには宗教なんか必要ないんだよ!」
「そっ、そうですか…では気がむいたらテレフォンください」
と、“金髪の青年”は紙切れをわたした。
“金髪の青年”が行ってしまうと、“ハーモニカの青年”は
「ぼくには時計も宗教も必要ないのさ」
と、つぶやいた。そして再びハーモニカを吹きはじめた。メロディアスなポップスだ。
『すべてはだんだん良くなってきている』
『これ以上悪くなりっこないさ』
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