サメやシャチだってやがては死ぬし、ペンギンだってだれかに食べられなくても病気で死んだりする。その遺体はほかの生き物のエサになったり、そうはならなくてもやがて微生物に分解される。そうして分解されたものは植物プランクトンのエサになり植物プランクトンは動物プランクトンのエサになる。そのプランクトンはペンギンのくちばしの中に入って生きるためのエネルギーは生きているうちに使い果たしてしまうけれど、その元になるものは一周してまたもどってくるんだよ。一見、一方通行でしかない弱肉強食の世界でも見方を変えれば、食う食われるの目に見えない鎖を通して生きるためのエネルギーの元がぐるぐるまわっているんだ。これはおたがいに助け合ってることにはならないだろうか?ペンギンが地球上にあらわれて4,500万年、今までエサに事欠かないで生きてこられたのは生きるためのエネルギーの元がたえずまわってるからなんだ。けれど食う食われるの目に見えない鎖はびみょうなバランスでつながっている。だからこそコククジラの一家は、そのバランスをくずして鎖を切ってしまわないように、あんまり賛成できることではないが、自ら命をたったんだ。このことでだれも責めることはできないのだよ。一番問題なのは、地球上に生きるものすべてが食う食われるの鎖につながっているのに、そのことを忘れてしまうことなんだ。地球上でもっとも進化した生き物だなんて自分からそういって、わが物顔でふるまってるヤツらが一番あぶないんだ!だからそのことをわれわれペンギンは忘れないようにしなくてはね!アデリー、お前だって食う食われるの鎖をつないでいくために食べなくちゃならないんだよ」 「オキアミさん!そんなところにいたらおいらに食べられちゃうよ…こんなおいらに食べられてくれるかい?」 っていってアデリー君はパクリとひとくちオキアミを食べたんだ。けれどもアデリー君ちゃんとなっとくしたわけじゃないみたい。 |