「いろんなことって、たとえば?」

 「おいらはパソコンだよ!まず、計算ができる」

 「計算なんて、電卓さんの方が簡単にできるわよ」

 「それじゃあゲームができる」

 「ゲームならゲーム機さんの方が得意なんじゃない?」

 「ワープロ」

 「ワープロ?それならワープロさんの方が専門よ!」

 「絵が描ける」

 「絵なんて紙に描けばいいじゃない」

 「インターネットや電子メールを使って遠くの人と話ができる!」

 「遠くの人とお話しするんだったら、インターネットなんてややこしいもの使わないで電話でできるわ!」

 「インターネットと電話はちがうんだ!」

   「そうなの?私にはわからないわ。でも、ケータイ電話にはインターネットができるものもあるんでしょ?」

 「えっ?」

 「そのほかには?」

 「うっ…」

 「でも、あなたはなんだかんだ言っても使ってもらえるかかいいわよね。扇風機さんを知ってる?」

 「そう言えば最近見ないわね」

 「そうよ。だってクーラーさんがやってきてから一回しか働いていないんだって。ずっと、納戸の奥にしまわれてるって話よ」

 「それにしても昔の電化製品はよかったわよねえ。大きなのっぽの古時計なんておじいさんが生まれたと同時にやってきて、おじいさんが亡くなったときに止まって、ありがたがられるなんて…」

 「大きなのっぽの古時計は電気仕掛けじゃないかもよ!」

 「えっ、そうなの?」

 ……電化製品たちのなげきはまだまだつづきます。

おわり 

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