夾竹桃の花
百日紅の花
サ ル ス ベ リ

百日紅が咲き夾竹桃が咲くと

原爆の日を想い出す

広島の人はみなこういって泣くと妻はいう

妻は被爆の中心地の人

知人や教え子たちの多くを

その日に失った哀しみに眼をうるます

生き死にはすべて

神のみ手にあることを知ってはいても

死んでいった人を哀れみ

生き残った自己に大きな責務を感ずる

一億否三十億

否々あの世に送った人々の生命の重圧さえも

私は心の奥底から感じてくる

世界人類が平和でありますように・・・・・・

永遠の平和をこの地に来らせ給へ

私たちはこう祈らずにはいられない

強い神の心を感ずる

ベトナムだけではない

イスラエルとアラブだけではない

地球上のあらゆる個所から動乱の匂いがする

私たちの祈りは世界平和の祈り

核爆発の被害を再びこの世界にもたらさぬように

大戦の惨禍を未然に防ぎ得るように

そして神のみ心の大調和世界を

この世に現わしえるように




祈り心で我が家の庭をみる

広島を想って植えた百日紅が

そして知人から貰った夾竹桃が

いずれも十数年目の美しい花を咲かせて

世界平和の祈りをしているのである

百日紅が咲くとき






             五井昌久