― rain ―



「春麗…」


降り続く雨に構うことなく 少女は空を見上げる

鉛色で覆われたそこには一筋の明かりさえ見えない


「春麗…」


長の大雨で大瀑布は恐ろしいまでの威容を放つ

その風景も 音も 少女の心には届いていない

頭から服から 既に全身が雨で濡れてしまっても

少女は 決してその場を離れようとしない


「家に入っていなさい…冷えてしまうぞ…」


凍え始めた身体は 少女が一番理解していた

指先の感覚はとうに失せ 歯の根もあわない

それでもなお 身動き一つしようとしない




―風邪くらい なんでもない―

―紫龍は また傷だらけになって戦ってる―

―この位 私だって我慢できる―



「春麗…」



老師の声すらも 今の春麗には遠い



―女神は 世界の為に祈っているという―

―私は 紫龍の為にしか祈らない―

―たった一人 私だけはあの人の為だけに―




どうか 生きて帰ってきて


風邪を引いてるかもしれない私を 叱って


そうしたら 笑って言ってあげるから




おかえりなさいって










紫春同盟サイト「比翼連理」投稿作品
アニメ版のポセイドン編ってばもう…(泣)
当時の感動の仕方→
なんて健気なんだ(ホロリ)
今だったらこう→
ああーっ!!かわいーわアンターーっ
近年増大の一途をたどるオヤジ化具合…


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