ヴィオラ日記


耳鳴り


実は2年ほど前から耳鳴りに悩まされている。
耳鼻科医に言わせると、弦楽器奏者はよく左耳が難聴になるとのこと。しかし、私の場合は右耳だ。ヴィオラのせいではないはず。(もしヴィオラのせいだったらヴィオラ・ジョークがジョークでなくなる!)

ところで、聞こえが悪くなると、その周波数に近い音の耳鳴りがするのだそうだ。確かに私の場合もサーとかキーンという耳鳴りだが、8000ヘルツ以上の音がほとんど聞こえなくなる。クスリなどで直るというものではないらしく、壮快などの健康雑誌(不健康雑誌?)にも10年以上も耳鳴りが続いている人の話がしょっちゅう出ている。(そのかわり、どんな健康法でも必ず耳鳴りが直ったという体験談が乗っている、不思議だ。)

耳鳴りのケアの専門書を読んでみたら、なんとスメタナも耳鳴りに悩まされてたのだそうだ。弦楽四重奏曲「我が生涯」の冒頭のヴァイオリンのとても高い音での持続音は彼を悩ました耳鳴りを表わしているのだそうだ。

さて、キーンという音だけならまだ良いが、私の場合とんでもない症状が加わる。初めて気がついたときは自分自身も信じられなかったが、なんと右と左の耳で同じ音でもピッチ(音程)が半音以上も違って聞こえるのだ。両耳で聞くときは正常な左耳のピッチが認識されるようだが、右耳だけで聞くと明らかにピッチが高く聞こえる。もっとひどいことには、右耳ではオクターブがずっと広く聞こえる。ということは一つの楽器音のなかの倍音がちゃんとした倍音でなく聞こえる。こんなことあなたは信じられますか?

ピアノの音はガムランか鍋底を叩いたように聞こえるし、パールマンのヴァイオリンもひどい音程で聞こえてしまう。(CDの回転がおかしくなったのかと思った。もっともCDでそんなことはおこり得ないことは知っていたが)

でもこんな症状も医療の現場では検査したり、確認できないらしい。積極的に直せるものでもなさそうだ。しかし、幸い私の場合、医者も首を傾げたが、2回ほど全く正常な状態にまで回復したのだ。それでもまったく正常なのは年に3ヶ月くらいだが。

今年は年の初めから耳鳴りが続いている。しばらくするとまたあのピッチがおかしくなる症状になるのだろうか。そして今度はまた直るのだろうか。カーオーディオのグレードアップも見合わせたほうがよさそうだ。




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